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【取材ノート:今治】マルチにプレーする山田貴文は、常に最適解を提示する

2024年4月25日(木)


そのとき、その場で必要なプレーを正確に繰り出せる。ベテラン山田貴文の強みは、ピッチを俯瞰(ふかん)するからこそ得られるものだ。

今季はその能力をトップ下、そして両サイドハーフで発揮している。求められればボランチ、さらに両サイドバックでも全開にすることができる。

流れと状況を読み取る達人が、勝点4差で追う首位、大宮アルディージャとの一戦を前にフォーカスしているのは何だろうか? 連敗を止めたチームは、この連戦でリーグ戦2連勝中。さらに先週のJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド第2回戦ヴィッセル神戸戦は、延長の末に1-2で敗れはしたが、昨季のJ1王者を相手に自分たちのクオリティーを堂々と示した。


そして開幕から無敗の大宮をホーム、今治里山スタジアムに迎え撃つ。

「自分たちがやりたいことに立ち戻って、その中で結果もついてきているのはポジティブです。でも、なかなか流れの中で点を取れていないのも事実。手応えというところまでは行っていません。そこは、積み上げていくしかない」

連戦の公式戦4試合でチームが奪っている7得点中、オープンプレーで奪ったのは1ゴールのみ。間違いなく、チームの大きな武器だが……。

「セットプレーから点を取れるというのは、昇格するチームの条件だと思います。でも流れから取れれば、さらに破壊力は増す。大宮戦で、ぜひこだわりたい」

チームとしてやりたいのは、前からプレッシャーを掛けてボールを奪いにいき、自分たちのボールをむやみに蹴らず、グループで前進していくことだ。それを表現するために必要なプレーを、トップ下でもサイドハーフでも表現する。

「大宮は“立ち位置を変えながら”というやり方ではない。逆にシンプルだからこそ、個の力を感じます。僕らは立ち位置など変化を加えながらやるチームですが、大宮に気持ちよくサッカーをやらせないためにも、1対1のところで負けないことが大事になります。その上で、グループで戦いたい」

トップ下よりも、サイドハーフでプレーするときの方が、スプリントやプレー強度の数値が高いという。それだけチームにサイドから推進力を与えている。その一方で、トップ下に入れば今のチームに不可欠な、前線から相手の攻撃を限定する守備のタスクを黙々とこなす。

「トップ下でもサイドでも、自由にやらせてもらっていますから。楽しくサッカーをやれています」

ピッチに立てば、“最適解”をいつでも示す。そのための準備を進めている。

Reported by 大中祐二