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【取材ノート:琉球】沖縄の地で自分を超える。永長鷹虎が磨く勝負強さと覚悟

2025年4月17日(木)


プロ4年目の春。永長鷹虎は、FC琉球という新たな舞台で自らの価値を証明しようとしている。

「見ている皆さんを楽しませます。そして、J2昇格に向けて全力で戦います」。
そう宣言して沖縄の地に降り立った22歳は、繊細な左足で魅せるボールタッチと、キレのあるドリブルでピッチに違いをもたらす存在だ。サイドを切り裂く突破力、トリッキーな動きから生まれる意外性はこれまで年代別代表でも高く評価されてきた。フィニッシュワークに絡む彼のプレーは間違いなくチームに新しい風を吹き込んでいる。

ただ、その華やかなプレースタイルの裏でいま、自分の存在価値を示す大切な時期にいる。永長は22年に川崎フロンターレへ加入。リーグ戦の出場機会は得られなかったが天皇杯では等々力でプロ初ゴールを決めて存在感を示した。翌年以降は水戸ホーリーホック、ザスパ群馬、テゲバジャーロ宮崎と、育成型期限付き移籍を繰り返しながら環境を変えてチャンスを追い求めてきた。しかし、「継続的にピッチに立つ」ことの難しさに直面し続けている。

「もっと試合に出たい。でも、ただそう思っているだけでは意味がない。限られた出場時間の中で結果を残せる選手にならなければこの舞台には立ち続けられない」。
率直にそう語る彼の言葉からは攻撃面での強みだけでなく、課題と真摯に向き合う姿勢が伝わってくる。攻守両面での貢献が求められる琉球において、守備強度や運動量といった部分はこれまで以上に重視されるポイント。だからこそ日々の練習から意識を変えて取り組んでいる。
そして「自分がもっと走って、声かけて、細かいところを変えたい」と、プレーだけでなくチーム内のコミュニケーションや献身的な姿勢でも存在感を示そうとしている。

いま、彼に課せられた役割は明確だ。途中出場で試合の流れを変えるアクセントとなり、限られた時間の中で結果を出すことである。味方との連携や戦術理解、守備での献身性など、試合に出るたびに求められる水準は着実に高まっている。

「相手の脅威になれるようなプレーを、いつでも見せられる準備をしています」。
その言葉どおり、ピッチに立ったときの永長は静かに闘志を燃やし、確実にチームの流れを変える存在になりつつある。



プロとしてのキャリアはまだ道半ばだが、川崎、水戸、群馬、宮崎と多くのクラブを渡り歩いて得た経験は確実に彼の中で積み重なっている。そして今、琉球での時間は「変化」ではなく「勝負」のフェーズへと入っている。

今節(4月20日)は、昨年までプレーした宮崎との古巣対決。「(宮崎でプレーしていた)当時はサブで出ることが多く、悔しい思いをした。でも、成長させてくれた場でもあります。出場できたら楽しみつつ、結果を出したいです」と語る彼からは、過去を糧に前へ進もうとする強い意思がにじみ出ていた。

沖縄の地で永長は「魅せる選手」から「勝たせる選手」へと進化を遂げようとしている。ゆえに、これまでに比べて少しずつ信頼とチャンスが増えている。それは「ようやく巡ってきたチャンス」ではなく「ようやく掴み取った場所」だ。
出場できなかった日々があったからこそ今がある。その重みを知る22歳は、琉球というクラブと共に、自身のキャリアに新たな光を灯そうとしている。華やかなドリブルの先にあるJ2昇格というリアルな目標へ向けて。この若武者の挑戦からますます目が離せない。

Reported by 仲本兼進