明治安田J1リーグは第9節を終えた。暫定首位は町田。それを1試合消化が少ない広島が同じ勝点(17)で追っている。3位の川崎から6位の福岡までは勝点差1(16)。まだ9節だが、例年以上の混戦模様を呈している。
その中でヴィッセル神戸は1試合消化が少ないとはいえ、16位(勝点9)と苦しんでいる。失点は7と少ないのは良いが、得点が6ゴールと伸び悩んでいるのが気になるところだ。
得点力不足の原因としては昨季年間MVPの武藤嘉紀や昨季二桁得点の宮代大聖らがケガで出遅れた点が挙げられる。またクロス数の多い酒井高徳が離脱したことも原因に挙げられるかもしれない。彼らが復帰してきたことで、今後は得点力アップが期待できるが、その前に開幕9試合での改善ポイントを考えてみたい。
目安として、リーグ優勝を果たした過去2シーズンと今シーズンのデータを比較していく。項目は1試合平均のクロス数とシュート数、そしてシュート決定率だ。まず攻撃の生命線と言える1試合平均クロス数から。
2023年 19.3本(リーグ2位)
2024年 19.9本(リーグ2位)
2025年 17.8本(リーグ2位/9試合)
過去2年よりクロス数は減っているが、それは酒井や汰木康也らが離脱していたからだろう。それでもリーグ2位を記録していることを考えると、クロス数は課題ではないと言える。むしろ注目すべきはシュートの数と決定率。まず1試合平均シュート数を比較する。
2023年 12.4本(リーグ7位)
2024年 14.2本(リーグ4位)
2025年 10.5本(リーグ10位/9試合)
リーグ優勝した過去2年に比べるとシュート数が少ない。続いてシュート決定率を見ていく。
2023年 14.2%(リーグ1位)
2024年 11.3%(リーグ5位)
2025年 7.1%(リーグ17位/9試合)
過去2年より決定率が低い。当たり前だが、シュート数が少なく決定率が低ければゴール数は伸びない。チームとしてギアが上がらないのは、このあたりに原因がありそうだ。
もう一つ、興味深いのが平均ボール支配率である。過去2年と比較すると今季はリーグ内で“ボールを握るチーム”になっている傾向がわかる。
2023年 50.3%(リーグ9位)
2024年 50.2%(リーグ9位)
2025年 54.0%(リーグ3位/9試合)
平均50%と54%にどれだけ差があるのかと聞かれると、正直わからない。相手の出方によって戦い方が変わるため、現時点ではポゼッション率が高いだけかもしれない。
ただ、過去2年はリーグ9位だったのに対して今季は現在3位と上位にいる。タテに速いチームが増えている昨今を考えると「ボールを持たされている」と言えなくもない。
言い方を変えれば、ハイプレス&ショートカウンターが強みのチームが、ポゼッションゲームをやらされている、となる。
吉田孝行監督は日頃から「ポゼッション率はあまり気にない」と話している。前節の新潟戦の後にも同じようなコメントを残している。
とはいえ、ボールを握ることで相手に守備を整える時間を与えているとも考えられる。実際、今季もポゼッションスタイルを継続している新潟に守備ブロックを組まれ、それを崩しきれずに0-1で敗北している。
一概には言えないが、クロス数は多いが得点が取れない一つの原因かもしれない。ちなみに前節の新潟戦は今季最高の平均ポゼッション率60%だった。そういう展開で求められるのはクロスの本数ではなく「質」だろう。過去2年も同じような課題が浮き彫りになったが、それを克服して頂点に立っている。吉田監督の頭の中には得点力不足という方程式を解く答えはあるだろう。あとはそれをどう表現し、結果に結びつけるか。そういう意味では、今週末の東京V戦は注目の一戦になる。相手は現時点で平均ボール支配率が17位(46.9%)と低いチームである。
Reported by 白井邦彦
その中でヴィッセル神戸は1試合消化が少ないとはいえ、16位(勝点9)と苦しんでいる。失点は7と少ないのは良いが、得点が6ゴールと伸び悩んでいるのが気になるところだ。
得点力不足の原因としては昨季年間MVPの武藤嘉紀や昨季二桁得点の宮代大聖らがケガで出遅れた点が挙げられる。またクロス数の多い酒井高徳が離脱したことも原因に挙げられるかもしれない。彼らが復帰してきたことで、今後は得点力アップが期待できるが、その前に開幕9試合での改善ポイントを考えてみたい。
目安として、リーグ優勝を果たした過去2シーズンと今シーズンのデータを比較していく。項目は1試合平均のクロス数とシュート数、そしてシュート決定率だ。まず攻撃の生命線と言える1試合平均クロス数から。
2023年 19.3本(リーグ2位)
2024年 19.9本(リーグ2位)
2025年 17.8本(リーグ2位/9試合)
過去2年よりクロス数は減っているが、それは酒井や汰木康也らが離脱していたからだろう。それでもリーグ2位を記録していることを考えると、クロス数は課題ではないと言える。むしろ注目すべきはシュートの数と決定率。まず1試合平均シュート数を比較する。
2023年 12.4本(リーグ7位)
2024年 14.2本(リーグ4位)
2025年 10.5本(リーグ10位/9試合)
リーグ優勝した過去2年に比べるとシュート数が少ない。続いてシュート決定率を見ていく。
2023年 14.2%(リーグ1位)
2024年 11.3%(リーグ5位)
2025年 7.1%(リーグ17位/9試合)
過去2年より決定率が低い。当たり前だが、シュート数が少なく決定率が低ければゴール数は伸びない。チームとしてギアが上がらないのは、このあたりに原因がありそうだ。
もう一つ、興味深いのが平均ボール支配率である。過去2年と比較すると今季はリーグ内で“ボールを握るチーム”になっている傾向がわかる。
2023年 50.3%(リーグ9位)
2024年 50.2%(リーグ9位)
2025年 54.0%(リーグ3位/9試合)
平均50%と54%にどれだけ差があるのかと聞かれると、正直わからない。相手の出方によって戦い方が変わるため、現時点ではポゼッション率が高いだけかもしれない。
ただ、過去2年はリーグ9位だったのに対して今季は現在3位と上位にいる。タテに速いチームが増えている昨今を考えると「ボールを持たされている」と言えなくもない。
言い方を変えれば、ハイプレス&ショートカウンターが強みのチームが、ポゼッションゲームをやらされている、となる。
吉田孝行監督は日頃から「ポゼッション率はあまり気にない」と話している。前節の新潟戦の後にも同じようなコメントを残している。
とはいえ、ボールを握ることで相手に守備を整える時間を与えているとも考えられる。実際、今季もポゼッションスタイルを継続している新潟に守備ブロックを組まれ、それを崩しきれずに0-1で敗北している。
一概には言えないが、クロス数は多いが得点が取れない一つの原因かもしれない。ちなみに前節の新潟戦は今季最高の平均ポゼッション率60%だった。そういう展開で求められるのはクロスの本数ではなく「質」だろう。過去2年も同じような課題が浮き彫りになったが、それを克服して頂点に立っている。吉田監督の頭の中には得点力不足という方程式を解く答えはあるだろう。あとはそれをどう表現し、結果に結びつけるか。そういう意味では、今週末の東京V戦は注目の一戦になる。相手は現時点で平均ボール支配率が17位(46.9%)と低いチームである。
Reported by 白井邦彦