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【取材ノート:今治】存在感は増すばかり。梅木怜が加速する

2025年3月31日(月)


3月23日に今治市内で発生した山林火災も鎮火の見通しが立ち、無事に開催された明治安田J2第7節のモンテディオ山形戦。梅木怜は右ウイングバックで先発したが、球際で負けたくない気持ちが出すぎてしまったのが、試合開始5分の接触プレーだ。相手ゴール前でボールを奪い合う場面で、空中にあるボールに遅れて飛び込む格好となり、山形のボランチ、田中渉と頭同士をぶつけることになった


「自分が遅れて入っていくのは分かったんですけど、ゴール前だったし、逃げたくなかった。『少しでもボールに触れたら』という気持ちで入っていきましたが、アフター気味に相手の頭に当たってしまったので、もっと別の判断ができるようにならないといけないです」

このプレーで今季1枚目のイエローカードをもらったが、球際で負けない気持ちの重要性は、先月のAFC U20アジアカップでも実感したばかりの部分である。

「上のレベルに行くと、やっぱりそこが上がっていきますし、代表で世界の球際を直接感じられていることは、とても大きいです。自分は、もっと上げていかなければいけないと思います」

山形は右ウイングの氣田亮真にボールを集め、サポートの人数をかけて攻めてきた。マッチアップする左ウイングバックの近藤高虎、3バックの左の加藤徹也、さらに労を惜しまずプレスバックするインサイドハーフの加藤潤也らが山形の攻撃を迎え撃ったが、ミスもあって同サイドから11分、17分と続けて失点してしまう。

自分とは逆のサイドの攻防から失点したが、「やるべきことがあった」と試合後の反省を欠かさなかった。

「逆サイドにボールがあるということは、自分は大外で状況がよく見えているはず。苦手な部分ではありますが、もっと声を出すことをしないといけないです。今日出た一番の課題です」

試合序盤は山形の個々の選手のうまさに翻弄され、プレスを?がされたり、ファウルになったりと、なかなかペースをつかむことができなかった。しかし後半は風上に立ったこともあり、ホーム、アシックス里山スタジアムでサポーターの大声援を受けながら、シュート数で10本対1本と圧倒的な攻勢に。1-2で迎えた後半アディショナルタイム、まさにラストプレーというところで、パワープレーのために上がっていたセンターバック、大森理生が値千金の同点ヘッドを決めて、劇的な引き分けに持ち込んだ。

形勢を逆転する要因の一つに、立ち位置とプレスの掛け方の微調整があった。試合をスタートした時点でのポジションは3-1-4-2の右ウイングバック。それが、前半途中から4-4-2の右サイドハーフのニュアンスでプレーするようになったのだ。

「自分が相手の左サイドバックを狙える位置に、少し(ポジションを)ぼかした感じです。それがベンチの監督からの指示だったかは、前半、自分はバックスタンド側でプレーしたので分かりませんが、ピッチ内の選手同士で話して変えました。それでハーフタイムに改めて、ロッカールームで監督やコーチから話がありました」

今季、新たにチームを率いる倉石圭二監督は、ハードワークをチームの基本に置きつつ、選手の立ち位置の取り方にもきめ細やかな戦いを展開する。試合中にアンカーをボランチ2人にしたり、さらに戻したりと、微調整しながら流れをたぐり寄せる采配が光り、初のJ2を戦う中で7節を終えて昇格プレーオフ圏内の5位につけている。

「練習でも監督からは細かい指示がありますし、それを選手みんなが理解できています。選手と監督、コーチ陣が本当に練習からたくさんコミュニケーションを取っています。それが、試合中のちょっとした動きにも生かされているのだと思います」

山形戦では、今季初めてフル出場を果たした。

「前節(いわきFC戦)は足をつってしまって、チームに迷惑をかけてしまいました(先発し、85分に交代)。今回はそういうことがないように、と思っていましたが、それで走行距離を落としてもチームの迷惑になります。自分の100パーセントを出して、足をつらないということを心掛けてやっています」

いわき戦は、1人退場した相手の粘り強い守備をなかなか崩せず、0-0のまま試合終盤へ。難しい展開だったが、足をつって交代する3分前に、右からクロスを上げようとして「相手GKが前に出ているのが見えて」キックを変えたところ、GKのミスを誘って今季初ゴール。これが決勝点となった。


開幕から2試合は、U-20日本代表としてチームを離れていたが、合流した第3節・サガン鳥栖戦から2試合途中出場。第4節・愛媛FCとのダービー、伊予決戦では、自慢のピンポイントクロスでマルクス ヴィニシウスの決勝ゴールをアシストしている。第5節・カターレ富山戦から3試合連続で先発中だ。


試合を重ねるごとに、成長著しい。その躍進は、J2に新風を吹き込むチームと軌を一にしている。

Reported by 大中祐二