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【取材ノート:千葉】チームの勝利のために「何としても点を取りたい」呉屋大翔

2025年3月27日(木)
ジェフユナイテッド千葉が開幕戦から4連勝で迎えた明治安田J2リーグ第5節で、今シーズン初のスタメン出場となったのが呉屋大翔だった。第4節では北海道コンサドーレ札幌に1点差でリードしている状況下の70分に交代出場。90+2分、ディフェンスラインの背後のスペースを狙った髙橋壱晟のロングパスに反応し、ゴール前へ飛び出すと前に出てきた札幌のGKの中野小次郎とうまく入れ替わった。フリーになった呉屋はゴールマウスの左下隅に流し込むシュートを決め、千葉のリードを2点に広げる、呉屋にとっての今シーズン初ゴールをゲット。呉屋の粘り強さと冷静さが光るゴールだった。


呉屋は喜びのあまりゴール裏の広告ボードを飛び越えたのだが、大和ハウス プレミストドームならではの3メートルという高低差のある床に落下。転落した呉屋の状態が心配されたが、大怪我をすることなくピッチに戻った。

その呉屋はゴールや前線でのポストプレーという攻撃面だけでなく、前線からの惜しみない動きでの守備も千葉の小林慶行監督に評価され、第5節でスタメンに選ばれた。しかし、チームは試合開始早々の8分、愛媛FCに先制点を奪われてしまう。21分に石川大地が得点し、1-1と同点の状況で後半に入ると、50分、呉屋は愛媛のクリアボールを拾った品田愛斗のシュート性のボールに頭で合わせた。ゴールマウスを外れていた品田のシュートのコースを変える、呉屋の得点に対する鋭い嗅覚が見られたヘディングシュートだった。これが決まって2-1と逆転した千葉は、その後に石川、千葉への移籍加入後初出場のカルリーニョス ジュニオ、横山暁之が得点して5-1と圧勝した。


「今日は何としても点が取りたかったので、ゴールは愛斗のシュートだったか分からないですけど、そのボールにうまく合わせたという感じで良かったです。でも、前半(27分)にも点が取れるシーンがあったので。(日高大のクロスは)決めないといけないボールだったので、次にああいうシーンがあったら決めます。今ももう次の試合で点が取りたいです。それだけです」

試合後にそう話した呉屋は、スタメン出場にあたっては「連勝を止めないこと」「結果を出すこと」だけを考えていたという。石川との2トップでは、中盤に少し下がって攻撃の組み立てに関わる石川に対して、呉屋は前線で体を張ってクサビのパスを受けるなど、2人の関係性がいいように見えた。その効果もあって、千葉は大きなサイドチェンジのパスを使って愛媛の選手が少ないサイドを使ったり、スペースを突いて縦へ縦へと速く仕掛けたりするなど、攻撃のバリエーションが多かった。

「大地は器用な選手なので、僕はあまり意識しすぎずにというか、自分が思うように動いて、大地も思うように動いています。ゴール前への入り方のところは、2人とも入るのが好きなので枚数が増えて、お互いにチャンスが増えているのかなと思います。攻撃のバリエーションに関しては、(監督が)慶行さんになってから積み重ねている部分で、それがやっと形になりつつあるというのもありますし、あとは選手自身がクオリティをあげてチャンスを生かせるようになっているというところが成長している部分だと思います」

昨シーズンから呉屋はベンチ入りできない試合も少なくなかったが、常に万全の準備を怠らなかった。試合のメンバー外にもかかわらず、フクダ電子アリーナ開催のJ2リーグ戦で、試合前のピッチのウォーミングアップに参加したこともあった。どんな状況下でも呉屋が試合でやるべきことは変わらない。

「今日もまずチームのためにハードワークをしてプレスをかけて、あとはゴール前に入る。そして、点を取るという、わりとシンプルなことを考えていました。今のジェフはみんながしっかりと準備をできていますし、そういう意味では普段どおりの準備をしたうえで、誰が試合に出て結果を出すかという勝負の世界だと思います。そういう意味では僕はこれを続けるだけです」

いい意味で選手みんなが危機感を持ちながらスタメン争いをしているところが、苦しい試合でも勝ちきれるという今の千葉の強みになっているのか。筆者が問うと呉屋はキッパリと答えた。

「はい、間違いないと思います」

第6節でもスタメンだった呉屋は、得点がなく56分に交代となったが、チームはヴァンフォーレ甲府に2-1の逆転勝利。そして、3月26日開催のJリーグYBCルヴァンカップ 1stラウンド 第1回戦は、明治安田J2リーグ第2節で2-0の勝利を収めたカターレ富山との対戦で、千葉は明治安田J2リーグ第6節からスタメン全員を入れ替えて臨んだ。呉屋は86分に交代出場したもののゴールは奪えず、千葉は2-4のスコアで敗退し、今シーズンの公式戦初黒星となった。

3月30日開催の明治安田J2リーグ第7節の対戦相手は難敵のジュビロ磐田。仕切り直しとなる一戦で、スタメンに呉屋は入るのか。だが、スタメンであっても、スタメンでなくても、チームの勝利のために「何としても点を取りたい」という呉屋の熱い想いは変わらない。

Reported by 赤沼圭子