今シーズンの明治安田J2リーグで開幕戦から連勝と好スタートを切ったジェフユナイテッド千葉の第3節の対戦相手は、2018シーズンのJ2リーグ第37節で2-1の勝利を収めて以来、3分9敗と勝利がないほど相性の悪いモンテディオ山形だった。
その第3節で千葉は立ち上がりこそ山形ゴールに迫ったものの、次第に山形に主導権を握られて13分に失点。23分に横山暁之が同点ゴールを奪い、37分に椿直起が千葉の逆転となる今季初得点をマークしたが、その2分後に失点して2-2のスコアで前半を終えた。後半は前半の攻守の問題点を解消しようと修正を図った千葉が、押し気味に試合を進めたものの決定機をモノにできない時間が続いた。しかし、64分、日高大のFKのボールを山形のGKの長谷川洸が遠くに弾けず、こぼれ球にすかさず反応した鈴木大輔がヘディングで押し込んで勝ち越しゴール。その後は反撃する山形に複数の決定機を作られたが、千葉は鈴木大を中心に体を張った守備を見せ、3-2で競り勝ってクラブ史上初の開幕3連勝となった。
試合後、ゴールシーンと得点者が行う『ジェフ三唱』のパフォーマンスについて質問された鈴木大は、笑顔でこう答えた。
「自分の前で(田口)泰士が潰れてくれたりとか、みんなが入るべきところに入ってくれて、たまたま僕のところにボールがこぼれてきたので。セットプレーのゴールはみんなで取ったゴールだと思います。感謝しています。昨年、(アキレス腱断裂の負傷で)試合に出られなかった時、スタンドから試合を見ていて、(得点した選手の)『ジェフ三唱』をやる風景も見ていたので、自分が復帰したらまた『ジェフ三唱』をやりたいなと思っていたんです。それがけっこうモチベーションになってリハビリを頑張れました。嬉しかったです」
実は、試合後に強く抱き合った田口とは試合前にこんな話をしていたという。
「『こういう大一番みたいな試合で自分たちの価値を発揮しようぜ』と2人で言っていたんです。ここで自分たちが『背中』で見せられなかったら、自分たちがチームにいる価値がないというか、『こういう時こそ俺らでしょ』という思いを持って試合に入ったので良かったです。僕はプレーで特別な違いを生み出すタイプではなくて、ピッチの内外でみんなの特長を引き出すというか、そういうことを意識してやっています。ベテランの選手が若い選手にどれだけ気持ちよくプレーさせてあげられるかとか、環境を整えられるかというところが一番大事だと思います。そういったところではとにかく声をかけることを意識しています。細かい守備についての声かけもそうですけど、プレーの合間、合間に『ここは喋って頑張ろうよ』とか『ここを耐えたら次はチャンスが来るぞ』とかです。当たり前のことだけど、苦しい時にベテランの経験のある選手が言うことによって自信を持ってプレーできたという経験が自分にはあるので。『大丈夫だよ』という感じで背中を押してあげることは意識しています」
とはいえ、実際のプレー面で鈴木大を中心に守備を改善したことが勝利につながったのは確かだ。前半は山形のディサロ燦シルヴァーノが中盤に下りてきてフリーになったところにクサビのパスを入れられたり、センターバックの安部崇士に攻撃の起点となる精度の高いロングレンジの縦パスを出されたりしていた。しかし、後半はそういった場面が少なくなった。どのように修正を図ったか筆者が問うと、鈴木大は次のように説明した。
「こっちの左サイドのことで言うと、うちの横山選手をうまく使ってスペースを消させて、相手のボランチにボールを受けさせてから前向きで守備をしようということを意識してやっていました。本当は人を人に付けて前から守備でハメたかったんですけど、それだとディサロ選手、土居聖真選手がボールを受けるのがうまかったので。僕らもそこを潰しに行ければよかったけど、なかなか行けていなくて、前を向かれるのが怖かったので、そこはボランチを使ってというやり方でした」
それでも試合を通しての2失点があり、勝っても鈴木大は手放しでは喜べなかった。
「3連勝という結果はスタートダッシュとしてはいいかなと思っていますけど、どうしても僕は守備の人間なので今日の試合では危機感のほうが強いです。ブロックを作ったのにそこを崩されて、自分たちの課題が出たと思うので、勝って嬉しいけど、率直に言えば『このままじゃまずいな』と危機感がすごく強いです」
第4節で千葉は開幕から3連敗で無得点の北海道コンサドーレ札幌と対戦。1失点したものの、札幌の得点チャンスになりそうな場面で、鈴木大が体を張ってシュートをブロックし、パスをはね返す姿が再三見られた。鈴木大は苦戦しながらも勝てたことについて、前の試合で勝っても気を引き締めながら試合に臨み、結果を出したことを前向きに捉えていた。
開幕戦からの連勝記録を4に更新して迎える第5節。連勝を5に伸ばせるかと同時に、失点ゼロの守備ができるかにも注目が集まる。そして、それにはチームメイトにプレー面でも精神面でも安心感を与える鈴木大の存在が重要だ。
Reported by 赤沼圭子
その第3節で千葉は立ち上がりこそ山形ゴールに迫ったものの、次第に山形に主導権を握られて13分に失点。23分に横山暁之が同点ゴールを奪い、37分に椿直起が千葉の逆転となる今季初得点をマークしたが、その2分後に失点して2-2のスコアで前半を終えた。後半は前半の攻守の問題点を解消しようと修正を図った千葉が、押し気味に試合を進めたものの決定機をモノにできない時間が続いた。しかし、64分、日高大のFKのボールを山形のGKの長谷川洸が遠くに弾けず、こぼれ球にすかさず反応した鈴木大輔がヘディングで押し込んで勝ち越しゴール。その後は反撃する山形に複数の決定機を作られたが、千葉は鈴木大を中心に体を張った守備を見せ、3-2で競り勝ってクラブ史上初の開幕3連勝となった。
試合後、ゴールシーンと得点者が行う『ジェフ三唱』のパフォーマンスについて質問された鈴木大は、笑顔でこう答えた。
「自分の前で(田口)泰士が潰れてくれたりとか、みんなが入るべきところに入ってくれて、たまたま僕のところにボールがこぼれてきたので。セットプレーのゴールはみんなで取ったゴールだと思います。感謝しています。昨年、(アキレス腱断裂の負傷で)試合に出られなかった時、スタンドから試合を見ていて、(得点した選手の)『ジェフ三唱』をやる風景も見ていたので、自分が復帰したらまた『ジェフ三唱』をやりたいなと思っていたんです。それがけっこうモチベーションになってリハビリを頑張れました。嬉しかったです」
実は、試合後に強く抱き合った田口とは試合前にこんな話をしていたという。
「『こういう大一番みたいな試合で自分たちの価値を発揮しようぜ』と2人で言っていたんです。ここで自分たちが『背中』で見せられなかったら、自分たちがチームにいる価値がないというか、『こういう時こそ俺らでしょ』という思いを持って試合に入ったので良かったです。僕はプレーで特別な違いを生み出すタイプではなくて、ピッチの内外でみんなの特長を引き出すというか、そういうことを意識してやっています。ベテランの選手が若い選手にどれだけ気持ちよくプレーさせてあげられるかとか、環境を整えられるかというところが一番大事だと思います。そういったところではとにかく声をかけることを意識しています。細かい守備についての声かけもそうですけど、プレーの合間、合間に『ここは喋って頑張ろうよ』とか『ここを耐えたら次はチャンスが来るぞ』とかです。当たり前のことだけど、苦しい時にベテランの経験のある選手が言うことによって自信を持ってプレーできたという経験が自分にはあるので。『大丈夫だよ』という感じで背中を押してあげることは意識しています」
とはいえ、実際のプレー面で鈴木大を中心に守備を改善したことが勝利につながったのは確かだ。前半は山形のディサロ燦シルヴァーノが中盤に下りてきてフリーになったところにクサビのパスを入れられたり、センターバックの安部崇士に攻撃の起点となる精度の高いロングレンジの縦パスを出されたりしていた。しかし、後半はそういった場面が少なくなった。どのように修正を図ったか筆者が問うと、鈴木大は次のように説明した。
「こっちの左サイドのことで言うと、うちの横山選手をうまく使ってスペースを消させて、相手のボランチにボールを受けさせてから前向きで守備をしようということを意識してやっていました。本当は人を人に付けて前から守備でハメたかったんですけど、それだとディサロ選手、土居聖真選手がボールを受けるのがうまかったので。僕らもそこを潰しに行ければよかったけど、なかなか行けていなくて、前を向かれるのが怖かったので、そこはボランチを使ってというやり方でした」
それでも試合を通しての2失点があり、勝っても鈴木大は手放しでは喜べなかった。
「3連勝という結果はスタートダッシュとしてはいいかなと思っていますけど、どうしても僕は守備の人間なので今日の試合では危機感のほうが強いです。ブロックを作ったのにそこを崩されて、自分たちの課題が出たと思うので、勝って嬉しいけど、率直に言えば『このままじゃまずいな』と危機感がすごく強いです」
第4節で千葉は開幕から3連敗で無得点の北海道コンサドーレ札幌と対戦。1失点したものの、札幌の得点チャンスになりそうな場面で、鈴木大が体を張ってシュートをブロックし、パスをはね返す姿が再三見られた。鈴木大は苦戦しながらも勝てたことについて、前の試合で勝っても気を引き締めながら試合に臨み、結果を出したことを前向きに捉えていた。
開幕戦からの連勝記録を4に更新して迎える第5節。連勝を5に伸ばせるかと同時に、失点ゼロの守備ができるかにも注目が集まる。そして、それにはチームメイトにプレー面でも精神面でも安心感を与える鈴木大の存在が重要だ。
Reported by 赤沼圭子