
AC長野パルセイロは1日に行われた明治安田J3リーグ第3節で、ザスパ群馬に3-2と勝利。3年ぶりのホーム白星発進を飾ったが、その裏側にはもう一つのドラマがあった。
試合前に行われたキックインセレモニー。冠スポンサーである「一休さんのはなおか」の田村健一事業統括部長とともにサプライズ登場したのは、砂森和也の長男と長女だ。一昨年に急性白血病の診断を受けた長女だが、サポーターの前で元気な姿を見せた。
「スポンサーの(一休さんの)はなおかさんは、娘が闘病中も常に気にかけてくれて、ずっと経緯を知ってくれていた。今日はキックインセレモニーがあるということで、『サポーターに元気になった姿を見せるのはどうか』とご提案いただいた」
事の経緯を明かした砂森。父として緊張や不安も重なり、試合前にもかかわらず「泣きそうだった」という。それでも「『パパも頑張るから』と(メッセージを)添えて出てきた中で、しっかり務めてくれてよかった」。
4,250人の観衆を前にした兄妹からしても、緊張や不安はあったはずだ。当初は兄のほうばかりを向いていた妹だが、いざ笛が吹かれるとレフェリーに向かってキックイン。小さな体に大きな勇気を込めた。
「ずっと横を向いていたから、横にボールを蹴っちゃうんじゃないかと…(笑)。そこは兄が先陣を切って、ちゃんと蹴ってくれた。普段はどちらかと言えば兄のほうが人見知りだけど、お兄ちゃんとしての役割を果たしてくれた」
そう笑顔で話す砂森の表情は、選手というよりも父親そのもの。今季初出場で勝利にも貢献し、家族にとって「最高の一日」となった。
Reported by 田中紘夢