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【取材ノート:東京Ⅴ】「丸くなるな!尖れ!」4シーズン目を迎える城福ヴェルディの目指すチーム像

2025年2月21日(金)
16年ぶりにJ1に復帰して2年目のシーズンとなった東京ヴェルディの開幕戦は、2023年J1昇格プレーオフ決勝戦で、上位アドバンテージによって引き分けたことで昇格を決めた相手・清水エスパルスとの対戦だった。開催スタジアムが国立競技場だったことも含め、“決戦”の再来カードとしても注目され、「同じ場所、同じ相手に清水がリベンジを果たすというのが最も盛り上がるストーリー」だと、城福浩監督も世間的な視点を冷静に受け止めていた。
そのうえで0-1での敗戦に、「局面の戦いを含めて清水さんのストーリーのなかでゲームをやってしまったというのは、我々にとって本当に悔しいこと」と目を血走らせた。


何よりも指揮官が嘆いたのが試合内容だった。「抽象的ですが、おそらく見ている方が『あれ?ヴェルディってこんなだったっけ?』『ヴェルディって、もっと尖ったものがあったはずじゃない?』という感じをもたれてしまうような試合をしてしまったというのが一番の問題」と城福監督。

昨年は、プレーオフで勝ち進んでJ1昇格を果たしたチームだけに、メディア関係者を含む多くのサッカー識者、関係者から「降格争い」を予想されたなかでの6位という大健闘。それが成し得たのはなぜゆえなのか。いま一度、闘将は選手たちと確認しあったという。

「我々が何に尖ってきたのか。我々のような経験値が少なく、(少ない予算)規模のチームが丸くなっていたら勝負できないんですよ。何に尖ってきたのかをもう一度みんなで認識することがとても重要。ただ、尖れば必ずリスクがあるんです。何のリスクを背負って勝負するのか。そこも含めて、強い共通意識をもって鹿島戦にチャレンジしたい」

城福ヴェルディの最大の魅力は“愚直”さだ。ポジション関係なく、FWだろうがDFだろうが、まずは守備を最重要のタスクとし、その上で個性を発揮し、結果を残せる選手でなければピッチに立つことが許されない。『日本一の練習』を目指した日々のトレーニングを積み重ね、そのなかで選出されたメンバーが、チームの代表として試合に出場しているからこそ、ベンチ外の選手たちも悔しい思いを託せる。それが、いまの東京ヴェルディなのである。

昨季受けた「最弱者」「新参者」とみられるアドバンテージはもう無い。最も難しいともいわれる2年目のJ1でどれだけの闘いを見せられるか。
監督が代わったとはいえ、J最強ともいえる有能選手が揃い、昨季まで率いた川崎フロンターレでは4度の優勝をもたらしている指揮官が率いる鹿島アントラーズ戦は、早くも今後のメンバー争いを左右する、選手たちとっても非常に重要な一戦となりそうだ。

前回の県立カシマサッカースタジアムでの同カード(2024明治安田J1第13節)では0-3ビハインドからでも最後の最後まで決して諦めず、泥臭く勝利への執念を示し、0-3からドローへと持ち込んだ。今年は序盤から圧倒的に押し込み、昨季とは違った形で“尖った”チームであることを証明してみせる。

Reported by 上岡真里江