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そこまで戦術的な色合いが濃くないポゼッション練習でも、寄せる角度、タイミングなど、指示の声がよく出ている。新天地、FC今治での始動から約1カ月。開幕のブラウブリッツ秋田戦を控え、22歳のセンターバックは存在感を確実に増している。
FC東京の下部組織で育ち、トップに昇格したのが2021年。以来、育成型期限付き移籍でFC琉球、大宮アルディージャ、いわきFCと、J2を舞台に武者修行を続けてきた。そして今季、初めてのJ2に挑む今治に、育成型期限付き移籍で加入。J2ですでに60試合以上、出場している経験を生かし、堅陣の土台を築くことが期待されている。
今季、新たにチームを率いる倉石圭二監督は、攻撃の幅を広げることに意欲的で、ビルドアップの整備に時間を割いている。攻撃の起点として、センターバックの配球は重要だ。
昨季の今治の攻撃は、J3得点王となった前線のブラジル人FWマルクス ヴィニシウスにロングボールを当てて、そこから展開を図るのが主な戦術だった。だが、そこが封じられて『万事休す』では、J2を戦い抜くことはできない。相手のプレッシャーを受けながらも動じることなく、パスを配球する必要がある。
同時に、前線への配球が効果的なのであれば、的確に判断してプレーを選択することも求められる。技術と経験、戦術眼をさっそく全開にしたいところだ。
開幕で対戦する秋田は、ロングボールで押し込んでくるスタイルに磨きが掛かっている。チームカラーに沿った補強もされているが、迎え撃つ準備はできている。
「下でつなぎたいというのがあったとしても、それを最初からやる方がいいのか、それとも時間帯を考えての方がいいのか。判断しながらやることが大事です。去年、いわきでも秋田と対戦して、彼らが何をやりたいかは理解しています。自分たちがペースをつかむためにも、まずはガツッと相手のロングボールをはじき返したい」
足下でボールを扱う技術も楽しみだが、まずは守備での強さに注目だ。堂々と、J2で戦う姿勢を示していく。
Reported by 大中祐二