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【取材ノート:千葉】これまでの経験を活かし、全員が同じ方向を向けるようにと考える前貴之

2025年2月13日(木)


2月9日(日)に開催された柏レイソルとの千葉ダービーである「ちばぎんカップ」。プレシーズンマッチであり、開幕前のテストの意味合いもある中で、ジェフユナイテッド千葉の右サイドバックのスタメンとなったのは、前貴之だった。今シーズン、レノファ山口から完全移籍で加入した前は右サイドバックだけでなく、左サイドバックやボランチでもプレーが可能。実際に、ちばぎんカップでは後半開始時に左サイドバックのスタメンだった日高大に代わって髙橋壱晟が出場すると、髙橋が右サイドバックに入って前が左サイドバックとなり、前はフル出場した。

ただ、試合は0-3というスコア以上に千葉にとって内容は厳しいものとなった。前線からのプレスはシステム上のミスマッチに対して柔軟に対応できず、試合を通して守備は機能したとは言い難かった。また、攻撃も『攻守は表裏一体』というように、押し込まれたところでのボール奪取からのビルドアップが、柏の厳しい守備もあってなかなかうまくいかなかった。



取材エリアに現われた前は厳しい表情で試合について語った。

「結果と内容に関しては、両方とも応援してくれている方には本当に申し訳ないものになったし、情けない姿だったかなと思います。沖縄キャンプでやってきた中での課題が今日も出てしまっている。(明治安田J2リーグの開幕戦まで)あと1週間あるという意味では、本当に修正しないといけないところがたくさんあるなと感じています。自分のところもそうだし、チーム全体としてもそうなので、開幕戦までの残りの期間でしっかり修正したいと思います」

前からのプレスをいかにうまく機能させるか。そこに関しての曖昧さが原因と前は説明した。
「ミスマッチだったので、それに対してどうプレッシャーに行くかというところでは、人を動かしてしまうとボールホルダーにプレッシャーに行くのがワンテンポ、ツーテンポ遅れてしまうので。それを全員が理解したうえで、それでも行くのであれば人に強く行かなきゃいけないし、明確に人を当てなきゃいけないと思う中では、それが全体としてちょっと曖昧になって、行くのか、行かないのかというのが中途半端になってしまった。そこで、相手の技術もあって逆サイドに展開されたり、同サイドで突破されたりという展開になってしまったので、リーグ戦に向けてという意味では出た課題を残りの1週間で修正していきます」

山口から慰留されながらも「ここで新たなチャレンジをして、刺激のあるチームでやりたい」と移籍してきた前。これまでの経験を活かして、自分が千葉で特に若手選手に対してやるべきことを考えている。



「昨年の千葉の状況を見ると、いい時はいいけど、悪い時にちょっと崩れてしまうという印象があったので、そういった波をどれだけ小さくするか。それがリーグ戦を1年間戦ううえですごく大事なことだと思うので、そのダメな時こそチームの矢印が同じ方向に向いてやっていくということが上を目指す中で大事だと思います。そういう時には若手選手が発言しにくかったりするところを、経験ある選手が率先してまとめて同じ方向を向かせるということが大事な役割だと思うので、そういうことがあれば発言していきたいと思います。試合でトライして自信をつけることが一番重要だけど、うまくいくことばかりではないので、そういう時には周りからの声かけとかが大事だと思うから、そういう雰囲気づくりができれば。『甘さ』ではなく、いい意味で助けになる声かけができれば、その選手も伸び伸びとプレーしてストロングポイントを出せると思うから、そういったことを大事にシーズンを通してやっていきたいです」

昨シーズンの千葉は右サイドバックでは髙橋が不動のスタメンとなり、左サイドバックでは日高の存在感が大きい。スタメン争いは厳しいが、開幕ダッシュに向けて、プレーだけでなく選手のメンタル面のサポートなど、前が担う役割は重要だ。

Reported by 赤沼圭子