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【取材ノート:神戸】今シーズンのヴィッセル神戸を予想。リーグ3連覇のカギは“対策の対策”か

2025年1月30日(木)
前キャプテンの山口蛍や初瀬亮、菊池流帆ら主力選手がチームを離れた今シーズン。それでもヴィッセル神戸は優勝候補になるだろう。なぜなら、今オフの懸念材料だった武藤嘉紀の残留が決まり、リーグ3連覇への戦力は整っていると考えられるからだ。

基本フォーメーションは昨シーズンと同じ[4-1-2-3]が予想される。主軸となるメンバー編成はGK前川黛也、DFは右から酒井高徳、山川哲史、マテウス トゥーレル、本多勇喜、アンカーに扇原貴宏を置き、右インサイドに井手口陽介、左インサイドに井出遥也、FWは右から武藤嘉紀、大迫勇也、宮代大聖のトリデンテになると思われる。
そして対戦相手に合わせて、サッカーIQの高い広瀬陸斗、今シーズンからヴィッセルのエースナンバー「13」を背負う佐々木大樹、変幻自在のドリブラー汰木康也、スピードスターのジェアン パトリッキらでバリエーションを創出していくスタイルも変わらないだろう。ACLEとの兼ね合いでシーズンの幕開けから連戦が続くなどカレンダー的な不安はあるものの、チームとしてはさらに熟成度が増すシーズンになりそうだ。

リーグ3連覇に向けて懸念材料があるとすれば、相手のヴィッセル対策が進むことだろう。昨シーズンも初瀬亮にロングフィードを簡単に蹴らせない、大迫勇也にマークマンを2枚つける、5バックで酒井や初瀬のオーバーラップを封じるといった策は講じられた。結果的にそれらを上回ることができたからリーグ2連覇を達成することができたのだが、当然ながら今シーズンは昨シーズン以上に対策が練られるに違いない。それをさらに上回れるかがリーグ3連覇に向けた1つのテーマになる。昨シーズン以上に“対策の対策”が今シーズンは求められるということだ。

その観点から今シーズンの補強を見る。攻撃陣の顔ぶれはあまり変化がないが、先述の通りタレントは豊富で組み合わせによって多くのバリエーションが生み出すことができるだろう。強いて不安を口にするなら武藤に代わる右ウイングが飯野七聖くらいしか見当たらない点だ。吉田孝行監督がセンスを認める二種登録の濱﨑健斗は面白い存在だが、守備面でチームの基準を満たせない限りリーグ戦の出場は難しい。対策を練られたその上を超えてくるのが武藤だが、それでも右サイドのオプションが増えるに越したことはない。ここはシーズンを通した一つのテーマになりそうだ。
また、初瀬が抜けた左サイドの活性化もポイントになるだろう。守備力の高い本多に加え、新加入のカエターノや小池裕太が異なるケミストリーを作れるかどうかがカギになりそうだ。特に「超攻撃的」と自ら謳う小池の存在が興味深い。リーグトップクラスのクロス数を誇っていた初瀬の代役ではなく、攻撃面で新たなオプションを創出できるかがカギ。相手チームによる対策を上回る意味でも、新戦力がもたらす“オプション”に注目したい。

Reported by 白井邦彦