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【取材ノート:千葉】「僕がJ1に上げたい」という鳥海晃司の強い思い

2025年1月16日(木)


2025年1月11日開催のジェフユナイテッド千葉の新体制発表会見に、2025シーズンまでセレッソ大阪との契約期間がありながら千葉に完全移籍で加入した鳥海晃司の姿があった。鳥海は千葉のU-15、U-18とアカデミーに在籍しただけでなく、FCウーノ木更津在籍時に千葉のスクールにも通っており、千葉サポーターの呼び方で言えば『ジェフっ子』となる。

高校卒業時には残念ながらトップ昇格とはならなかったが、明治大学を経て2018シーズンに千葉に加入。センターバックとして活躍し、千葉サポーターから大きな期待をかけられていた。しかし、活躍の舞台をJ1に求め、完全移籍で2021シーズンからセレッソ大阪でプレーしていた。

千葉への加入を伝えるクラブからのリリースには「短いサッカー人生の中での次の目標はJ1でプレーする事よりも、J2で15年苦しむ、愛するクラブをJ1に戻したい」という鳥海の言葉が書かれていた。そして、C大阪との契約期間1シーズンを残してのこのタイミングでの移籍について、鳥海は新体制発表会見で記者の質問に答える形でこう話した。

「28、29歳くらいの一番体が動ける時に、ジェフに帰ってプレーしたいということはずっと思っていました。ずっとジェフに帰りたいと思っていたから、このオファーがあった時はすぐに返事をしました」

しかし、内心に葛藤がなかったわけではなかったという。新体制発表会見のあとに行なわれた千葉U-18とのトレーニングゲーム後の囲み取材では、こんなふうに話している。

「セレッソとの契約がまだ残っているという権利を捨てて、J2のクラブにわざわざ行くということを家族は反対しましたし、『(J1で)もっとできるよ』と言われました。でも、その反対を押し切って自分はこのクラブでやりたいと言ってきたので、それが間違っていなかったことを絶対に証明しなければいけない」

千葉のJ1昇格に貢献するために、自分の体がしっかり動けるうちに千葉に帰ってくると考えていたことは理解できる。だが、一度は千葉を離れながらもそう考え続けた思いの根底にあったものは何なのだろう。そういった考えになったきっかけや要因は何だったのか、筆者が聞くとこう答えた。

「何なんですかねえ。自分でもよく分かっていないですけど、『本当に僕が(千葉をJ1に)上げたい』という気持ちかな(笑)。ほかの人にはたぶん分からないと思いますけど。だから、家族は理解するのがなかなか難しかったと思います。でも、僕がこのチームをJ1に上げたいという気持ちが一番にあります」

昨シーズンの終盤はキャプテンマークを巻いてプレーした佐々木翔悟がガンバ大阪に移籍したものの、今シーズンの千葉はアキレス腱断裂による負傷欠場が昨シーズンは長かった鈴木大輔が復活し、同じく新戦力としてブラウブリッツ秋田から河野貴志が加入。さらに、昨シーズンは開幕時に大卒ルーキーとして活躍しながらも疲労骨折で戦線離脱となった久保庭良太、そしてシーズン後半には持ち味を発揮してスタメンをつかんだ松田陸などがおり、センターバックのスタメン争いは熾烈を極める。

「もしも試合に出られなくても何かしら力になれるとは思っています。でも、自分が試合に出る気ではいます」

そして、J1での経験を踏まえて、今の千葉に還元したいことを次のように挙げた。

「プレーのクオリティはまだまだ足りていないと思うので、そういうところを追求したいです。自分と同じポジションにアカデミー出身の選手(久保庭、谷田壮志朗)がいるので、贔屓目にはなっちゃいますけど、もっと大きくなってほしいなと思います」

千葉のJ1昇格達成に貢献した『ジェフっ子』として名を残せるか。帰ってきた鳥海のプレーに注目したい。

Reported by 赤沼圭子