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【取材ノート:福岡】競争激化の中盤のポジションを勝ち取るために松岡大起が考えていること

2025年1月14日(火)


昨シーズン最終戦後のミックスゾーンで強い覚悟を示してくれた松岡大起の言葉が忘れられない。

「どういう選手が上に行けるのか、トップに行けるのかということを自分の中に問いかけたときに、Jリーグにも素晴らしい選手はたくさんいますし、見て感じている部分もあって、自分にはまだまだその力はないなと感じています。もっともっといろんなことにこだわって、どんな状況でも、どんな場でも、しっかりとした力を出し切れるような、さらに言えば、それを毎試合しっかりと出せるような、そういった選手にならないといけないと思っています」

2024シーズンの出場は36試合。ただ、同い年のボランチ重見柾斗にスタメンの座を譲る時期もあり、先発は26試合にとどまった。悔しさを力に変えて、より高みを目指す2025シーズンも福岡でプレーする選択をしてくれた彼の今年に懸ける想いが聞きたくて、練習場である雁の巣球技場に向かった。

「監督も代わりましたし、一からの競争だと思っているので、(金)明輝さんも言っていましたけど、今までのキャリアだったり、年齢だったり、そういうのは一切関係ないし、やれる選手が(試合に)出られるというのはみんなに分かりやすく明輝さんが伝えていたということはあるので、そこをしっかりと表現して試合に出続けたいと思っていますし、その思いがあります」

福岡の新指揮官である金監督は松岡にとって鳥栖の下部組織に所属していた中学生の時から知る指導者。約4年ぶりに再会して思いを新たにした。

「分かっているところはしっかり表現したいなと思いますし、自分自身も積み上げてきたものがあるので、まずは求められているところをしっかりやってそこプラスα、得点だったりを狙っていきたいと思います。明輝さん(自身)が多分いろんな経験をしてアップデートされて、今いろんなことを(チームに)落とし込んでやっていると思うので、分かっているところと『あぁ、初めて』と思うこと、いろんなことがこれからあると思います」

始動してから約1週間、技術、強度、判断、あらゆる面でチーム全体の「基準」が高まっている印象が強いここまでのトレーニング。金監督が表現したいサッカーで松岡は「アクション」が重要になると考えている。

「自分たち主導でサッカーを攻守にわたって仕掛けるというのは一つポイントじゃないかと思います。(人やボールの)動かしのところのやり方は(いろいろ)あるにしてもそういうサッカーをやりたいじゃなくてやると言っているので、自分たちはできたらいいなぁじゃなくてチームとして同じベクトル、方向を向いてやるというところで突き詰めてトライしたいと思っています」

約1カ月のオフは松岡にとって心身ともに自身を見つめ直す充実した時間になったようだ。

「(昨シーズンが終わって)最初の1週間はゆっくり休んで、そこからは自分の体と向き合ってトレーニングをしたり、いろんな人と会ってコミュニケーションをとって話をしたり、テレビを見たり(笑)。美味しいものを食べたり、リラックスして。(試合を)やっているときにプレッシャー感じているというのはあんまり分からないので、オフになると相当心身にプレッシャーだったり、疲れだったり、いろんなものを感じながらサッカー、プレーしていたんだなと感じました。それが嬉しいことでもあり、やりがいでもあり、だからサッカーをやりたいなという思いになったり、ちょっと休みたいなという思いにもなったり(苦笑)。それはタイミングだったり、時期だったり、それは誰にでもあると思うので。人として自分自身を客観的に見る良い機会だったと思っています。(オフの間)筋トレはかなりやりましたし、オフでしかできないトレーニングだったり、取り組みだったりとかもあるのでそれを継続してやって『こういうトレーニングがあるんだ』だったり、『(身体の)ここはこういう使い方でここがいいんだ』というのを毎日の日々に入れてみたり、それを継続してやってみたり、自分の中でそういう良い新しいものを入れる期間で楽しいです」

パーソナルトレーナーとともに普段とは違った足の裏など細かな動きに使う筋トレを行ったり、足の使い方、身体の使い方、ステップの踏み方を意識したサッカーのトレーニングにも取り組んだ。自身で新しい器具も購入し、今もクラブハウスに持ってきて継続しているとのことでこれから松岡の肉体にどのような変化が起こるのかにも注目したい。

福岡2年目となる今シーズンの個人的な目標は、5ゴール5アシスト。そして、ボール奪取(インターセプト)数、タックル成功率、デュエル勝利数1位だと言う。

「去年は(具体的な)目標を言わずに自分の中で決めてやって、もう少しだったんです。で、今年は言ってみようと。ただの気まぐれじゃないですけど、毎年いろんなことを変えてやってみようかなと思ったところです」

『もっともっと』。いつも松岡が多く口にする言葉である。中盤に鹿島から名古新太郎、東京Vから見木友哉、長崎から秋野央樹の実力者が加わり、さらにポジション争いが激しくなる中で自身の成長の為に変化を恐れず挑戦を続ける背番号88の想いを聞いて今シーズンの彼のプレーを見るのがより楽しみになった。

Reported by 武丸善章