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【取材ノート:大宮】まさに“守護神”。笠原昂史が大宮をさらなる高みへ導く

2024年12月26日(木)


12月20日、2024 J3リーグアウォーズが行なわれた。ベストイレブンや最優秀選手賞のノミネートとなる優秀選手賞は、大宮アルディージャからは11人が受賞。アウォーズは大宮の独壇場になるかと思われた。実際に、ベストイレブンは半数以上となる6人を大宮の選手が占めた。さあ、次だ。誰が選ばれるのか、ワクワクが最高潮に至った次の瞬間、冷や水を浴びせられた…。
残念ながら最優秀選手賞受賞はならなかったが、それに値する戦いを見せ続けてきた選手が大宮にもいることを、その戦いぶりを今年1年間見続けてきた者は知っている。

フィールドプレーヤーで唯一、J3リーグ全38試合フル出場の小島幹敏はもちろん評価されてしかるべきだが、彼は9月の月間MVPを受賞したこともあり、個人的には笠原昂史を推したい。小島と同様にシーズン全試合でフル出場し、リーグ2位となる失点の少なさを支えた。まごうことなき守護神である。
リーグ半数近い17試合で無失点。なかでも、第21節カマタマーレ讃岐戦から第28節ギラヴァンツ北九州戦まで、実に8試合連続無失点を記録した。



「ずっとキャンプから日頃やり続けてきたことが形になっていると思うし、誰一人さぼらずにしっかりハードワークするところは本当にすごい。よく走るし、本当にありがたい」
笠原は組織としての堅守を称える。だが、その堅守をかいくぐってゴールに向かってくるシュートを、ことごとく捕らえ、はじき返した。実は大宮の被シュート数はそれほど少ないというわけでもない。例えば第8節FC大阪戦、第12節ガイナーレ鳥取戦など、相手のほうがシュート数が多かったものの、無失点で勝利した試合も4試合ある。そのゴールキーピングは円熟味を見せつつ、瞬発的な動きも鋭さを増しているように見えた。笠原が要所で発揮した多くの好セーブが、大宮をJ2昇格、J3優勝へ導いたと言っても過言ではない。

J3優勝を果たした第33節FC今治戦後、笠原の目には光るものがあった。クラブやファン・サポーターへの思い、厳しかったことや辛かったこと…いろいろなものを背負って戦ってきた証として、一気にこみ上げてきたものだろう。その守護神の涙に、皆さんからのMVPを贈ってあげてほしい。


Reported by 土地将靖