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【取材ノート:今治】決意とともに伊藤元太は2025年を目指す

2024年12月26日(木)


自分がチームの力になり切れなかった悔しさと、FC今治が初めてJ2の舞台にチャレンジする充実感とともに、2025年のシーズンに臨む。

2024シーズンは第6節・ギラヴァンツ北九州戦(●0-1)で初先発。そこから6試合続けてチームのゴールを守った。第8節・AC長野パルセイロ戦(△3-3)では、1点ビハインドで迎えた後半アディショナルタイムのCKで同点に追いつくヘディングシュートを決めて、勝点1を積み上げることに貢献。かつてヴィッセル神戸でチームメートだったアンドレス・イニエスタもSNS上で反応した値千金のヘディングシュートは、J3月間ベストゴールにも選出された。


しかし第12節・奈良クラブ戦(●1-2)を最後に、メンバーから外れることになる。次に出番が来たのは、チームが昇格を決めた第36節・ガイナーレ鳥取戦(〇5-0)の翌節、カマタマーレ讃岐戦(第37節〇1-0)。最終節のテゲバジャーロ宮崎戦(第38節〇1-0)でも今治のゴールを守った。ホーム、アシックス里山スタジアムを埋め尽くしたサポーターの前で、21分には抜け出した相手との1対1を止めるファインセーブを見せるなど2試合続けて完封し、試合に絡むことができなかった時間の意義を示した。

「前節の讃岐戦よりもゴールに迫られる機会が多かったですが、昇格が決まっても練習からコミュニケーションを取りながらやり続けてきた、その成果が出たと思います。(21分のセーブの場面は)相手の動きに惑わされず、ボールにだけ反応しようと意識していました。練習からディフェンス陣が体の『面』で行ってくれるので、僕はこぼれ球、ルーズボールにできるだけ早く反応することを心掛けた結果です」

シーズン途中から試合に絡めなくなったのは、けがなどコンディションの問題ではなかった。それだけに、しっかり自分と向き合い、乗り越える必要があった。

「試合に出られなくなって、最初は自分にフォーカスするのではなく、周りに理由を求めていました。でもベテランの修行(智仁)選手が率先して練習に打ち込む姿を見て、これではダメだな、と。一から意識を変えて取り組んできて、最後にようやく回ってきたチャンスで2試合連続クリーンシート。1年間で見たら悔しいシーズンでしたが、チームは昇格を果たし、その意味でとても充実した良いシーズンだったと思います」

自身の契約が更新され、来シーズンも今治でプレーすることが発表されたのは、12月19日のこと。2024年は4人体制だったGK陣のうち、40歳の修行が現役を引退し、小澤章人は期限付き移籍が満了、滝本晴彦は契約満了となった。来季に向け、ジェフユナイテッド千葉から髙木和徹、宮崎から植田峻佑、いわきFCから立川小太郎の完全移籍での加入が決まっている(12月25日時点)。新たなシーズン、新たな舞台での競争が始まる。松山市出身で県人でもあり、頼もしい今治の守護神を目指して、いっそうの飛躍が期待される。

Reported by 大中祐二