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【取材ノート:琉球】ゴール量産の富所悠が表現する飽くなき探求心

2024年11月21日(木)


10ゴールを記録した18年の明治安田J3のとき以来、自身3度目となるシーズン二桁ゴールを記録した富所悠。現在、17年にマークした自己最高の13ゴールまであと1点と迫っており、最終節・岐阜戦での記録更新が期待される。

元来ゲームメーカーとして「周りを活かす」選手として確立された富所だが、今年は「周りに活かされる」選手としても実証している。今季序盤は怪我で出遅れたものの、第5節のYS横浜戦(◯2-1)で自身としては珍しいダイビングヘッドという形で初ゴールを奪うと、4月のYBCルヴァン杯2回戦のG大阪戦(◯2-1)では強烈なミドルシュートを突き刺し、歴史的勝利に貢献した。さらに5月の第14節・宮崎戦では代名詞である直接FKで決勝点を生み、5月のベストゴールとMVPのW受賞という快挙を果たした。




7月までに10ゴールを記録していたFW白井陽斗がJ1の札幌へ移籍してからはPKキッカーを任されるようになると得点機会はさらに増加し、9月の第29節・沼津戦(△1-1)でPKを成功させる。そしてプレーオフ進出に向けて後が無い状況で迎えた第32節の相模原戦(◯2-1)では直接FKで決勝点を生み出し、チームの窮地を救った。印象深いゴールは数多く、ピッチで光る背番号10がボールに触れれば自然とサポーターはワクワク感を覚える。そういう存在感が琉球の象徴であり「琉球のバンディエラ」と言われるゆえん。



「今まで二桁決めたシーズンは『絶対に俺が決める』という強い気持ちがあったけれど、今年は『どれだけ自分らしく自然体で出来るか』が自分のテーマ。俺がというよりも、味方を活かしながらどれだけ勝利に貢献できるかが大事だったし、今年は点を取っているからこそ自分にボールが自然と集まってくる。だからシュートチャンスは多いし、12ゴールの結果以上に決めきれなかったシュートも数多い。だけど、PKも含めて自分がゴールを奪えなかったとしてもそこで悔やんだってしょうがない。終わったことは終わったこととして切り替えて、次へ次へという気持ちでいたからこそ今年の数字につながっているかなと思います」(富所)



JFL時代を含めて琉球13年目の富所は、試合経験を積みあげてきたからこそ冷静な面持ちで周りに流されない屈強なメンタルと、気持ちの切り替えの早さを身に着け、チームにとって今以て不可欠な存在である。34歳となった今も高みを目指し、自己最多ゴール記録を狙うべく「最後の試合は絶対に俺が決めるという気持ち出してやろうかな」と、茶目っ気も出すほど肩の力を抜いて自然体で今季最終戦に挑もうとしている。

Reported by 仲本兼進
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