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【取材ノート:名古屋】名古屋グランパス四季折々:“名古屋にグランパス在り”を印象付けた1週間。ラストスパートへの英気は十分に養われた

2024年11月21日(木)


名古屋グランパスが“大売り出し中”である。一昨年のこの時期にも、同じようなことを言っていたのは承知の上で書く。(https://www.jslink.jp/news/jslink/n-00283693/
死闘のルヴァンカップ決勝が終わり、賛否両論のリーグ鹿島戦のドロー劇があり、シーズンは3週間の中断期へ。チームはまず選手をリフレッシュさせることを優先し5日間のオフをとり、30日のリーグ37節へ向け緩やかに再始動した。とは言え本番まではまだ期間はあり、トレーニングもまだまだ本気モードには入っていない。今週はトレーニングマッチも行ないつつ、ギアが上がるのはやはり試合の開催週だ。このタイミング、逃すわけにはいかない。

実際、この間のイベントラッシュはなかなかに濃密だった。オフ明けの15日に稲垣祥が市内の小学校で名古屋市交通局との交通安全教室に出演したのを皮切りに、翌16日にはファンクラブ会員向けのイベントをふたつ開催すると同時に和泉竜司と山中亮輔はチャリティーオークションにも出演した。17日はシーズンチケット購入者向けに恒例となっているボウリング大会に加え、「あいち商店街まつり2024」のステージトークに楢﨑正剛アシスタントGKコーチが出席している。19日には名古屋の栄でルヴァンカップの優勝報告会を行ない約2,000名の参加者を呼んだ。チーム公式だけでもこれだけある上に、選手個々では他のイベントにも参加。これでもかと名古屋の選手たちがサポーターの前に姿を見せる様子は、“ハイシーズン”にはプレイヤーズファースト、試合ファーストになるのが当然の中でもやはり豪華なものがあった。



公式戦への緊張感やピリついたところがまだない選手たちはこうしたイベントを楽しんでいたようで、普段のトレーニングでは見られない柔らかな表情を楽しんだサポーターも多いはず。今季は非公開練習がほとんどでサポーターと触れ合う機会も少なかっただけに、チームの側も全力でこの場を盛り上げていたような印象は受ける。言い落とせないのは地域の協力なくしてこのような催しはできないことで、11月2日の優勝から2週間あまりで名古屋のど真ん中に優勝報告会のステージが設営できたことは普段のホームタウン活動の賜物。主催のNPO法人 久屋大通発展会の大澤和宏会長は「この元気な栄を盛り上げていただく1つとして感謝を申し上げます」とあいさつするなど、“名古屋グランパス”が街にとって大事なものという認識が広がり、強くなっていることも感じた。



また稲垣は小学生たちとの交流の中でこうも発言している。「グランパスはすごく愛知県内での認知度が高いなと感じます」。もちろん子どもたち全員が名古屋グランパスを知っているわけではないが、子ども目線でしっかり相手をすることで自分に興味を持ってもらい、イベントの最後には「グランパスで好きな選手は誰ですか?」と聞いて「稲垣選手!」と全員が答えてくれるところまで持っていくから流石だった。同様のことはファンクラブ会員の小学生相手のサッカー教室に参加した吉田温紀が、「今年は試合に出ているから知ってくれているなと感じた」と話しており、認知され、応援されての相乗効果を、直に体感できた場としてこれらのイベントは重要だったと言える。



優勝報告会の場では長谷川健太監督が「来シーズンもとプレッシャーをかけられていますので、今季はしっかりと2試合戦って何とか一桁順位で終われるように。また来シーズンもさらにカップ、シャーレを増やせるように、星を増やせるように。選手とともに頑張っていきたい」と事実上の続投を宣言し、挨拶に立った森島司が「決勝という素晴らしい舞台で、素晴らしい声援で、人生で経験できることないことを経験させてもらった。来シーズンもまたあの舞台に立てるように一緒に戦ってください」と呼びかけた。名古屋にグランパス在り、を猛アピールした1週間ほどを終え、チームは本当の意味での再始動の時を迎えている。残り2試合への何よりの後押しを感じたという点で、この“大売出し”は大成功だったと言えるのではないだろうか。

Reported by 今井雄一朗