J3優勝、J2復帰。
明治安田J3リーグ第33節、大宮アルディージャは年頭に掲げた目標をしっかりと果たした。
そのピッチには、富山貴光もいた。今季は自身の負傷や分厚い選手層に阻まれ、ここまで絡んだ試合数は決して多くはなかったが、この日は他の選手のコンディション不良もあって3試合ぶりのベンチ入り。優勝の瞬間をピッチで迎えられたのは、サッカーの神様からのご褒美のようにも思えた。
昨年は厳しい状況の中、キャプテンとしてチームを牽引したが、あえなくJ3降格の憂き目に遭った。シーズン最終戦後のセレモニーでは、ファン・サポーターの矢面にも立たされた。そこからの苦闘の末に勝ち取った優勝である。思いはひとしおであろう。
「今まで関わってくれた先輩方が作ってくれた歴史もある中で、パートナーの方々、ファン・サポーターの方々も含めて本当に申し訳ない年にしてしまった。今年はその思いだけでやっていて、それが優勝という形で終われたのは、チームとして本当に素晴らしいことだと思う」
昨シーズンが終わっての思いは、「まず基盤を作っていかないと始まらない」ということ。クラブは長澤徹監督を招へいし、そして、チームは生まれ変わった。
「当たり前のことを当たり前にやれる集団になった。走る、戦う、球際…そういうところのベースが本当に上がった。徹さんが来てベースを上げてくれて、それが基準になった。まだまだ足りないところはたくさんありますけど、これをベースにやっていけば、間違いなく何年か後にはJ1でタイトルを取れるようなチームになると思う。若い選手、前向きな選手には頑張ってほしいし、僕ももっと発破をかけてやっていかないといけない」
そう言うと、ひときわ語気を強くして「小島(幹敏)とか、やっと成長してくれた」と笑った。
「僕からしたら、ああいうやつが変わってくれないとこのチームはダメだと思う。このチームを変えてやる、このチームのために、って思いながらやってくれないと、僕がいる意味がないし、今まで僕が先輩方に教わってきたものが台無しになってしまう。それも含めてまだまだ頑張らないとな、と思います」
先人からの思いを次の世代につないでいく。最年長フィールドプレーヤーとして、そして、大宮でプロキャリアをスタートした者として、まだまだ役割は小さくない。
そして何より、今季まだ果たせていないゴールを、残り試合でぜひとも期待したい。
Reported by 土地将靖