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【取材ノート:長野】髙木理己監督はなぜ、ゴール裏と対話するのか

2024年10月17日(木)


「正直、鳥取のときも今治のときも行ったことはない」。髙木理己が言う“行き先”というのは、ゴール裏である。

AC長野パルセイロは前節、FC岐阜に1-2と敗戦。後半に先制しながらも数分後に追いつかれると、アディショナルタイムに勝ち越しを許して逆転負けとなった。8試合未勝利で17位に転落し、激昂するサポーターと長時間におよぶ対話が行われた。


試合後に選手がゴール裏へ赴くのは、日本の風習でもある。とはいえ、監督が同席しないチームも多ければ、同席したとしてもサポーターと対話することは少ない。冒頭の発言にあるように、髙木監督も例外ではなかった。

しかし、今季はゴール裏と対話する光景がたびたび見られる。直近16試合でわずか1勝という成績が起因しているのは間違いないが、それだけではない。指揮官はなぜ、ゴール裏に向かうのか。

「自分が感じていることと、サポーターの方が感じていることがリンクしている。勝っても『ん?』というときはあるし、そういうときは『つまらないぞ』と思われているんだろうなと。逆に言えば負けはしたけど、『全部出し切ったよな』という試合には拍手をくれたり。『この人たちは分かってくれているんだ』と、長野に来てすごく感じる」

それは髙木監督が創り上げてきた世界観が明瞭であり、共鳴できるものがあるからだろう。だからこそ、結果が伴わずにもどかしさが募るばかり。現状を打破するためには、何よりも勝点3が必要だ。

「厳しい声もいただくけれど、それはお互いに本気でやっているから。そこに感情があったとしても、感情のないフットボールは意味をなさない。だからこそ喜んでもらいたいし、最後の6試合で良い結末を迎えたい」

過酷な残留争いを強いられる中で、サポーターの“悲鳴”を“歓声”に変えられるか。

Reported by 田中紘夢