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【取材ノート:今治】ウェズレイ タンキは昇格に突き進む

2024年10月11日(金)


「ピッチにいるのが90分でも10分でも、FC今治の勝利のために全力を尽くす」。その言葉がうそではないことを、アウェイゲームの明治安田J3リーグ第31節・カターレ富山戦でもプレーで証明した。

4試合連続で先発した前節ヴァンラーレ八戸戦では、「自分のキャリアでも初めて」というハットトリックを達成。3-1での勝利の原動力となり、J2自動昇格圏内の2位を行くチームに貢献した。


八戸戦の3ゴールで通算6ゴールとなり、近藤高虎、横山夢樹と並んでチーム2位の得点源に躍り出た。6月の終わりに加入したブラジル人FW、ウェズレイ タンキが本領を発揮し始めたと実感させる数字だ。

しかし、勝点3差で追ってくる3位富山との直接対決は、5試合ぶりにベンチスタート。U-19日本代表として臨んでいたAFC U20アジアカップ中国2025予選から戻ってきた横山に、先発を譲る形となった。

それでも0-0で迎えた73分、横山に代わって出場すると、186cm、86kgの体格と柔軟な足元のテクニックを生かしたポストプレーで、ドリブルを武器とする横山とはまた違った攻撃の選択肢をチームにもたらした。荒れ気味のピッチコンディションもあって、そのポストプレーはいっそう効果的で、ゴールに向かう推進力を高めた。

「一番はゴールというところを意識して試合に入りました。結果的に自分もチームも得点できず、0-0で引き分けましたが、やれることはすべてやりました。ポストプレーは今日のピッチ状況を踏まえてあらかじめ準備していたものではなく、もともとの自分の特長です。チームメートもそれを理解して、自分を生かそうとしてくれるのを感じます」

実際、ブラジル人FWに収めてもらおうと、ボールの動き方には明らかな変化が起きた。タンキも我に走るのではなく、「ボールを受けたらヴィニの足下に付けて、自分はスペースに出ていくことだけを考えた」という言葉の通り、もう1人のブラジル人FWでリーグの得点ランクトップタイの13ゴールを挙げているマルクス ヴィニシウスに、かなりの高確率でパスをつないで、チャンスの芽を膨らませていった。

自身のキャリアにおいて、昇格は中国2部の青島西海岸足球倶楽部でプレーしていた昨年、経験している。

「2部から1部へ昇格して、本当にすばらしい思いをしました。僕自身、今治であの感動を再び味わいたいし、チームメートやサポーターと一緒に喜びたい。そのためだけを目指して、しっかり準備をし、やるべきことをやり続けます」

タンキ、ポルトガル語で「戦車」の名前の通り、そのプレーは実にパワフル。昇格に向かって突き進む。

Reported by 大中祐二