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【取材ノート:千葉】どんな時も気遣いの言動を見せ、味方を支える小川大貴

2024年10月10日(木)
明治安田J2リーグ第34節の後半開始早々のことだ。ハーフラインを越えたところでエドゥアルドのパスを受けた小川大貴は、ザスパ群馬の樺山諒乃介のプレスを受け、自陣にいる松田陸へバックパスを出した。だが、そのパスが少しずれてしまい、群馬の平松宗に奪われてしまうと、小川はすぐさま平松のところへ走り、粘り強く寄せ続けてボールを奪った。ボールロストをした選手が責任感を持って奪い返す。そういったプレーの積み重ねが、ジェフユナイテッド千葉が苦しい展開の試合でも失点せず、勝ちきっていくことにつながるように思えた。

試合後、そのプレーがあった時間については曖昧な言い方のまま、自分のその考えを伝えると小川はこう答えた。

「ああ、後半の頭ですね。あそこだけ切り取れば、あんなしょうもないミスをすること自体が選手としてどうかと思うんですけど。でも、やっぱりみんながボールを奪われたあとに切り替えて取りに行くことだったり、その強度みたいなところだったりというのは、ああやって出していかないといけないところで、当たり前のことを当たり前にやるだけです。今の僕たちができることをただひたすら愚直にやることだけが、本当に最低限のことなので。そこは(千葉の監督の小林)慶行さんが今のメンバーにずっと求めてきたことだと思うので、それが少しずつ身についている証かなと思います」

千葉は第33節・愛媛FC戦に続いて、第34節も相手にボールを持たれて攻められる時間の長い試合を勝ちきった。

「まずはポジティブに勝ったことは今の僕とチームにとって素晴らしいことだと思います。僕たちが今、あんまりネガティブに考える必要はないと思っていて、勝った中で反省ができるというのはいい状況だと思うので。ボールを持たれているというところでは、前節に続いてクオリティの部分で自分たちの持っているものを出せなかったという課題はあるので、そこは反省しながら次につなげられればいいかなと思います。ミスのポイントはいくつかあると思うんですけど、例えば(相手ボールを)奪ったあとの1本目のパスの質であったりとか、少しずつのズレであったりとか、ちょっと間延びした時のその連動がちょっと遅くなってしまったところだったりとか、そういったところは僕たちがここまで築き上げてきた基礎の部分だと思うので。そこで上回って、いかにその次のアタッキングサードのいいイメージだったり、イマジネーションだったりをみんなで作っていくかというところが重要だと思うから、まずは最低限、自分たちがやってきたところを見つめ直して、もう一度やっていく必要があるかなと思います」

取材で質問者に分かりやすく理路整然と語る小川は、ピッチ上のプレーにも細やかな気遣いが感じられる。千葉の不動といえる左サイドバックは日高大で、日高は果敢に前へ攻め上がっていくプレースタイルが魅力である一方、小川は周囲の選手の特長や状況を考えた絶妙なポジショニングが持ち味だ。

「自分の前にいる選手の特長、その選手をサポートする選手の特長も考えています。だいたい3、4人のグループでサイドを崩すことが多いので、この選手であればもうちょっと深くサポートしたほうがいいとか、この選手であれば離れたほうがいいとか、この選手であれば中のほうがいいとか、それもボールの置き所や体の向き、視線とか、それを一つひとつ見てやっています。それによって前の選手がしてほしいサポートが変わってくると思うので。それは僕の発信ではなくて、相手の発信したものを汲み取って、お互いにいいプレーができる選択をできればと思っています。セオリーに捉われず、例えば縦パスを出す時も相手が嫌がるポジションを意識してとるようにしています」

チームがなかなか勝てない時期には、米倉恒貴などと一緒にチームの雰囲気を盛り上げる声を出すなど、どんな時も気遣いの言動を見せる小川は、自分自身の課題として「もう少しアタッキングサードに入って行く回数を増やしたい」と話した。小川が「次の試合にはメンバーが変わっているかもしれない」と言うほどスタメン争いが激しい状況下ではあるが、小川がピッチに立った時には彼らしく味方を気遣うプレーに注目したい。


Reported by 赤沼圭子