ついてない、というべきか…。
明治安田J3リーグ第31節、奈良クラブとの一戦に乗り込んだ大宮アルディージャ。奈良の粘り強い守備に手を焼き、なかなかゴールを破ることができなかった。
しかし、ついにアディショナルタイムにビッグチャンスが訪れる。相手のパスをカットした村上陽介から関口凱心を介し、藤井にボールが渡る。藤井は和田拓也にパスを送ると、そのまま前線へ駆けていった。
「(パスを)つけた後にもう1回ゴールに入っていくところは自分の武器。拓さん(和田)が折り返した時、ラッソ(ファビアン ゴンザレス)は周りが見える選手なので、たぶんスルーしてくれると思いました。来た!と思って、相手GKの逆を取れたので入ったと思ったんですけど…」
その直前のプレーで足を攣ってしまったのか、相手DFがゴールラインの外で座り込んでいたが、そこから一目散でゴール前へ戻り、藤井のシュートはブロックされた。
ルールブックでは「主審の承認を得ず、競技のフィールドに入る、復帰する、または意図的に競技のフィールドから離れる」ことが反則として定義されている。極めて短時間だったせいか、この試合ではその部分が問われることはなかったが、見ていた者として少しもやっとした気持ちが残るのは正直なところ。
藤井にとっては、この日だけではない。雷による中断の再開試合として行なわれた第25節AC長野パルセイロ戦もそうだ。0-0での再開から4分経った83分、茂木力也のロングスローを相手DFがヘディングでクリアし損ねたボールを藤井がゴールへ押し込んだように見えたが、オフサイドの判定でゴールは認められなかった。
さらに遡って4月。第9節Y.S.C.C.横浜戦では、藤井にパスを落とした杉本健勇がオフサイドと判定され、ネットを揺らした自らのシュートをゴールと認めてもらえなかった。
いずれも際どい場面で、自分以外の部分で損をしたようにも思ってしまうところだが、それでも藤井は矢印を自らに向ける。奈良戦後は「どれだけチャンスを作っても、結果を残せないとFWは仕事をしたとは言えないと思うので、それに尽きる。もっといいコースに打てれば」と反省の弁を口にした。
記者から「今度こそヒーローになって」と声を掛けられ、「はい、なります」ときっぱり。次節からのホーム2連戦は、大きなものが懸かった試合になる。ぜひともそこで一発決めて、鬱積した気持ちを払拭してほしい。
Reported by 土地将靖