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【取材ノート:琉球】ひとつの壁を乗り越え、岡澤昂星が「勝たせる存在」としてまた輝く

2024年10月3日(木)


J2昇格に向けてプレーオフ進出を狙う琉球だが9月の4試合は2分2敗と失速し、悔しさを味わった。その中、チームを復調させようとするボランチ・岡澤昂星の傑出した動きはひとつの明るい兆しとなった。

開幕からフルタイム出場を重ねてきた岡澤だが、7月の明治安田第22節・奈良戦で左ハムストリングの肉離れを発症。直後3週間のリーグ戦中断期間で懸命に治療し「100%出し切れるだろうかという不安があったが、試合に入れば気にならない」ほど順調な回復を遂げ戦列復帰を果たした。ただ、リーグ再開後の福島戦(◯1-0)、金沢戦(◯2-1)でチームは連勝を収めたものの、なぜか岡澤自身は当てはまりの悪さを感じ取っていたという。勝利を目指して貢献しようとする姿をピッチ上で披露しながらも今までのように差し込むパスでチャンスメイカーとしての顔であったり、怪我明けの影響か球際の強さも十分に発揮できず、チームを勝たせる存在になれていなかった歯がゆさがあったのかもしれない。



その状況に手を差し伸べたのが、チームの10番を背負う富所悠だった。「尊敬する人からすごく前向きな言葉をもらえて。『サッカーを楽しもう』という言葉を受けたとき自然と腑に落ちて、原点回帰できるきっかけになりました」。

第14節終了時2位まで上り詰めていた頃に感じていたサッカーの楽しさ。徐々に成績が伸び悩むとともに失われたその感覚をいま再び取り戻した岡澤は、「ガンガン前に出てボールプレスに行き、前を向いてボールを(受け手に)つけて自分が追い越してゴール前に入っていくプレー。どんどんボールに触ることが自分の持ち味」であることを第29節の沼津戦(△1-1)で再証明。「試合前日眠れないぐらい早く試合がしたかった」と、覚えた興奮を勝利へのエネルギーに変え、しゃかりきに戦う姿を見せた。

上位との昇格争いを演じる最中、手応えを得た岡澤はいま「若い選手がもっと頑張らないと」と目を輝かせる。8月に柏から育成型期限付き移籍で加入した2003年生の同い年FW真家英嵩の加入も契機となり、「中学から代表に選ばれていて、個人的にずっと追いかけて見ていた選手が仲間になってとても嬉しい」と、心強い存在が必ずチームの急先鋒となってくれることに胸を膨らませている。

リーグ戦もあと8試合で、11位・琉球はプレーオフ進出圏内の6位まで勝点2差で追随。ただ、1試合ごとに順位が大きく動くほど勝点拮抗のリーグ戦で予断を許さない状況だ。その中でチームの窮地を救うべく、なおかつ目に見える結果で勝利をもたらせようと岡澤は残り試合、「大好きなチームを昇格させたい」という思いを果たすべく己の存在価値をグッと上げてくれることだろう。

Reported by 仲本兼進