21日の明治安田J3第29節・沼津戦。後半19分から登場した真家英嵩は、沖縄の地で万能型フォワードとして才能の片鱗を見せる。
187cmの恵まれた体格を武器にボールキープと空中戦で起点を作り出せば、サイドにも周りながら脚力を生かして裏抜けを図り、機を見て中盤まで降りてきてはチャンスメーカーとしての顔ものぞかせるなど、柔剛一体のプレーを披露。「どんどん自分の色を出してほしい」と金鍾成監督に背中を押された21歳は、ようやくピッチに立てた喜びを噛みしめながらFC琉球の勝利に貢献しようと光る汗を拭った。
真家は柏レイソルの下部組織出身で、年代別の代表として日の丸を背負った経験を持つ。22年からトップチームへ昇格すると、翌年出場した天皇杯では2回戦の山梨学院大学PEGASUS戦でハットトリックを決めるなど実力を示してきた。しかし昨年末、左膝前十字靭帯断裂と半月板損傷の手術を行い、プロ3年目の今年は復帰を目指して自分の体と向き合う日々を送ってきた。
リハビリを経てチーム練習に参加できるようになった頃、琉球からオファーが来た。サッカー人生で初の移籍となったが「最初は少し不安もあったけれど、チームメイトもスタッフもみんな優しく接してくれてすぐに馴染めました」と真家。琉球の主軸を担う同級生の岡澤昂星の存在も「頑張らないといけないという刺激にもなるし、一人でも同い年がいると自分の心もホッと落ち着くところがある」とプラスになっていると話す。戦術面においては「自分が好きなスタイル」とし、「結果を残していくイメージも高まっている」と、琉球の地で最適化した姿を見せて勝利に貢献しようと気合十分だ。
第28節の宮崎戦で初出場し、続く沼津戦では約30分間の出場で3本のシュートを記録。うち1本はGKとの一対一の場面だったがクロスバーをかすめ、自身Jリーグ初ゴールとはならず悔しさを噛み締める試合になった。それでも彼は決してうつむかず「どれだけ疲れていても(ボックスの)中で勝負するという意識でシュートに持っていけたこと。個人戦術のところで改善しなきゃいけないところもまだまだありますが、狙い所に入れたことはポジティブです」と真家。その姿に金監督も「(ストライカーとしての)匂いを感じた」と評価した。
ここからさらにコンディションを上げ、ゲームでしか養えない持久力、試合勘を取り戻していくことで視野をより広く、瞬間のプレー選択にジャストな答えを示してくれるはず。「試合に出たら確実に点を取ることだけを意識してますし、そこは絶対求められているところ。それを示すために琉球に来たので、ゴールで自分自身を表現したいです」。
かき立てる彼の強い思いがリンクするプレー。すなわち、J2昇格に向かってチームを勝たせるプレーに注目していきたい。
Reported by 仲本兼進