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【取材ノート:今治】近藤高虎の献身が勝利に導く

2024年9月12日(木)


J2昇格を争う上位対決となった第27節、アウェイのギラヴァンツ北九州戦。予想通りタフで難しい戦いになった試合を、左ウイングバックで攻守に走る近藤高虎は、13分、左足をひと振りして動かした。弓場堅真が蹴った右CKは中央で相手がクリア。高く上がったクリアボールを利き足とは逆足で合わせる形になったが、ゴール右に決め切った。


「けっこうボールがはずんだのでトラップするか迷いましたが、“ここはダイレクトで打とう”と足を振りました。シュートのスピードは緩かったけれど、コースが良くて入ってよかった」

2点差を引っ繰り返す第20節・福島ユナイテッド戦で2ゴールして以来の今季6ゴール目。その福島戦でも、CKから強烈な一撃を叩き込んでいる(このときは、市原亮太の丁寧な落としから右足ダイレクトで合わせた)。


「CKになるとこぼれてくる予測はいつもしています。今日もシュートをふかさないよう、抑えて蹴ることだけを意識してプレーしました」

31分には、良い形でボールを奪ってチャンスを作るチームの波に乗って、左サイドの深い位置から右足でインスイングのクロスボールを上げ、マルクス ヴィニシウスのヘディングシュートをアシスト。

「最初、縦に仕掛けようと思いましたが、相手が警戒している感じがあったので、抜き切ろうとする前に少し中に持ち込んでクロスを上げました。中がヴィニ(マルクス ヴィニシウス)だと見えていたので、速いボールではなく、フワッとしたボールの方が有効なパスだと思って」

イメージはズバリと的中した。176センチと上背があるわけではないが、屈強なフィジカルを生かして空中戦に強さを発揮するM・ヴィニシウスのリーグトップに並ぶ13ゴール目で、勝利に大きく近づいた。M・ヴィニシウスも、「トラ(近藤)は、いつも自分のことを見てくれているし、今日も目が合った」と、互いの持ち味を生かし合っての得点に、昇格に向けて突き進むチームの成熟がうかがえる。

北九州に勝利したチームはリーグ戦3連勝、11試合無敗で自動昇格圏内の2位を行く。だが、地元・今治出身の献身性抜群のサイドプレーヤーに慢心はない。

「難しくなると分かっていた試合でみんなが走り、体を張って勇敢に戦った結果です。チームはここに来て複数得点ができているし、守備でも2試合連続で失点ゼロで来れています。本当に自信になっているし、練習の雰囲気もとてもいい。継続していきます」

ミスして縮こまらないよう、試合の最初のプレーを大切にしているという。ピッチに立てば、ファーストタッチから勝利のスイッチを入れ続ける。

Reported by 大中祐二