劇的な同点弾の裏側で、さまざまな感情が渦巻いた。明治安田J3リーグは第26節。AC長野パルセイロはアウェイでSC相模原と戦い、1-1と引き分けた。立ち上がりに先制を許すも、終了間際に進昂平が同点弾を決める。進にとって約3ヶ月ぶりのゴールとなったが、喜びは控えめだった。
得点後は小さなガッツポーズを見せたのち、相模原のベンチに視線を動かす。顔の前で両手を合わせ、敵将に向けて謝るような素振りを2回ほど繰り返した。「悠紀さん(シュタルフ悠紀リヒャルト監督)へのリスペクトは常にある。複雑な思いがあることに嘘はないし、喜びよりも『ごめん』という思いのほうが強かった」と胸中を吐露。Y.S.C.C.横浜と長野で共闘した恩師に対し、敬意が行動となって表れたのだ。
今季は開幕前に左大腿二頭筋肉離れを負い、全治2カ月と診断された。復帰後も思うようにパフォーマンスが上がらず、第16節・Y.S.C.C.横浜戦の2得点のみに留まっていた。相模原戦は1点を追う83分から出場し、土壇場にチームを救う同点弾。5試合ぶりの出番で結果を残し、「簡単に言えば調子が悪かったけど、それも乗り越えられることを示せたと思う」。
得点ランクトップの浮田健誠にマークが集まる中、進にはジョーカーとしての役割も求められる。次はチームを勝利に導くゴールを決め、喜びを爆発させたいところだ。
Reported by 田中紘夢