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【取材ノート:琉球】「腐っている場合じゃない」。アップデート中の鍵山慶司が機運を高める時

2024年8月8日(木)


「サポーターの前でプレーする姿を見せることがプロとして一番のこと。それがなかなか叶わない時期も腐らずにやろうと意識していたし、いつチャンスが来てもいいようにしっかり準備して良い状態で出られるよう心がけていました」。
そう話す鍵山慶司は不退転の決意で琉球2年目のシーズンを送っている。

昨季は先発4試合を含む9試合に出場も今年は長らくベンチ外が続き、6月に今季2度目のベンチ入りを果たしたが出場機会は与えられず、「僕を応援してくれている人たちに申し訳ない」という悔しさだけが残った。それでも「そこで腐ってる場合じゃない」と自分を奮い立たせ、もがきながらもアピールを怠らなかった。



ボランチとしてプレー機会を探る鍵山にとって苦心したことが、自分の「ボランチ像」をほどくことにある。「下で受けてボールを散らす」イメージを払拭し、プレッシャーが避けられない敵陣でコントロールしながら常に攻撃に絡む姿勢を示せるかが琉球のボランチに求められる。「どれだけ間で受けてつなげられるかがというところに苦戦していますが、それをやらないと試合には出られない。チャレンジしながら応えていきたい」と、求められるプレーとのギャップを埋めるため日々鍛錬した。

そして第21節・富山戦の後半ATに今季初出場の機会。わずか4分程度のプレーだったが「どれだけの時間、どんな状況でも自分の良さを出せるか」を心情に体を張った空中戦でゴールを狙う姿勢を示せば、相手のロングカウンターに対して「奪われても50mは走らないと」と、敵陣から自陣へと快足を飛ばして激しくボールを奪い切るプレーを見せた。初陣で掴んだ手応えをそのままに鍵山は翌週、奈良戦の後半スタートから途中出場。「チームとして少ないと感じていた」というミドルシュートを積極的に放ち、わずかに的を射ることはできなかったが会場を沸かせた。そして第23節・北九州戦では負傷欠場の岡澤昂星に代わってボランチでスタメンの座を掴み、腐らずにやってきたことが実を結んだ。



「自分自身アップデートしている感覚はありますし、あらためてボランチの楽しさを感じています。掴んだチャンスは逃したくない。自分のプレーでチームを勝たせられるように貢献したいという思いが強いです」。

根底にある反骨心が自分の成長へとつなげていく。そう自覚し、地道に手を抜かず挑戦する姿勢が彼を、そしてチームを強くさせる。

Reported by 仲本兼進