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【取材ノート:千葉】ギリギリでもチームのためにゴールを奪って生き残る呉屋大翔

2024年8月2日(金)
7月10日の天皇杯3回戦で、ジェフユナイテッド千葉はカテゴリーが上のFC東京に2-1の逆転勝利を収めたのだが、逆転ゴールを奪ったのが呉屋大翔だった。


2019シーズンにはV・ファーレン長崎で36試合に出場し、キャリアハイの22得点という結果を出した呉屋だが、千葉に加入して2シーズン目の今シーズンは、それまでの明治安田J2リーグで13試合に出場して2得点。ボールを引き出そうとする動き出しや前線でのクサビのパスを受けるポストプレー、得点嗅覚に優れたポジショニングという攻撃面だけでなく、時にはスライディングも見せる、前からの激しいプレスといった守備面でも貢献する。それでも今シーズンは出場機会になかなか恵まれず、スタメン出場はわずか2試合で、試合のメンバー外になることも少なくなかった。呉屋にとっては不完全燃焼の日々が続いていたのだ。

ベンチスタートだったFC東京戦は、82分に林誠道に代わって出場。その林が79分に同点ゴールを奪っており、千葉は一気に逆転まで行きたかったが、1-1のまま後半が終了となった。そして、延長戦の前半開始早々の91分、千葉の佐々木翔悟が打ったシュートをFC東京のGKの波多野豪が弾くと、こぼれ球に呉屋が詰めて逆転ゴール。そのままスコアが動くことなく2-1で千葉が勝ち、ラウンド16進出を決めた。

「(試合に出る時は)自分が試合を決めようという気持ちだけでした。うちのほうが狙いを持ってプレーしているなというのはベンチから見ていて分かったので、それを何とか結果につなげようとみんなで話していました。本当にギリギリですけど、結果につなげられたのはまた前進できたということかなと思います」

得点シーンでは呉屋の持ち味である、ゴール前のポジショニングの良さが光っていた。

「毎回、(ゴール前に)入っているので、(得点につながる)その1回が今日来たという感じです。本当にギリギリでした(笑)。自分も個人的にゴールが欲しくてしょうがなかった。いつも、こういうふうにギリギリで点を取って生き残ってきたほうの選手なので、またそれを次につなげたいなと思っています」

千葉は天皇杯3回戦の直前の公式戦だった明治安田J2リーグ第23節で、清水エスパルスに0-2の敗戦。天皇杯3回戦の次の公式戦である明治安田J2リーグ第24節で、スコアは0-2ながらも内容はロアッソ熊本に完敗だった千葉は、明治安田J2リーグで連敗となった。熊本戦での呉屋は75分に林に代わって出場したが、シュートは打てずに終わった。

中断期間を経て迎える明治安田J2リーグ第25節の千葉の対戦相手は横浜FC。横浜FCは第14節で千葉に0-1で敗れたあと、第15節はスコアレスドローだったが、第16節からクラブ記録更新となる8連勝。第24節は水戸を相手に0-2から2-2に追いついて引き分け、現在、10試合負けなしだ。

第14節で千葉が横浜FCに勝った時、ゴールを奪ったのは呉屋だった。千葉は第13節から複数のスタメンを変更した状況下で、呉屋は横浜FCのDFにプレッシャーをかけ、ボールを奪って自らゴールを決めたのだ。守備の意識の高さ、そして得点に対する貪欲な姿勢が生み出したゴールだった。


天皇杯3回戦の試合後、千葉の勝利のパフォーマンスである『勝利のでんぐり返し』の音頭を取ったのは呉屋だったが、それにはまだ慣れていないという。呉屋がさらに多くのゴールを奪い、「もう慣れました」と話す日が来ることを期待したい。

Reported by 赤沼圭子