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【取材ノート:神戸】神戸初得点を決めたDF広瀬陸斗。“異色のウイング”にはある理論が…

2024年7月11日(木)
今シーズンからヴィッセル神戸でプレーしているDF広瀬陸斗が7月5日の明治安田J1第22節サンフレッチェ広島戦で加入後初ゴールを決めた。自身にとっては19年4月の浦和レッズ戦以来となるJ1での記念すべき2得点目。ゴール後には満面の笑みを浮かべていたが、試合後のフラッシュインタビューでは「あ~、あの立ってたらボール来たんで、とりあえず枠内に、ちょんと触るだけでした」とそっけない返答だった。表情から察するに機嫌が悪いわけではなさそうだ。この場面を見ていて、広瀬がJ1通算100試合出場を達成(6月16日J1第18節川崎フロンターレ戦に達成)した際のコメント取りシーンを思い出した。


時は6月19日の公開練習後。記者たちのリクエストに応えて広瀬は囲み取材に対応してくれた。

“いいヤツやな”と思っていたら、J1通算100試合達成の感想を聞かれた広瀬は「なんもないです。特には…」と、ぶっきらぼうに応えた。むむ、今日は機嫌が悪いのかと記者たちがやや構えた直後、彼の口からしびれるコメントが飛び出すことになる。
「(自分の)試合数よりもタイトルをとった数が一番重要だと思うので。どんだけ試合に出ていてもタイトルを取れていなかったら意味がないと思う。みんなそうでしょ。リーグ戦の優勝めざして、天皇杯のタイトルを取りに行って、ACLも同じ。みんなそれをめざして戦っているわけですから、個人の記録とかは特に…」

広瀬の本職はSBである。前所属の鹿島アントラーズと同じく神戸でもSBで使われると思われた。だが、吉田孝行監督は左ウイングで起用した。気の利いたプレーや駆け引きのうまさを買われ、「中継役」(吉田監督)を期待された。同じポジションには、佐々木大樹やジェアン パトリッキ、汰木康也といったゴリゴリのアタッカーが揃っている。その中で広瀬は先発で出場する機会が多い。吉田監督の信頼が厚い証拠だ。

とはいえ、やはり本職のSBで出場したいのではないだろうか。答えは「いや、特に…」。たぶん、J1通算出場記録の感想と同じ理論がここにも発生しているのだろうと思われる。

どこで出るかは問題ではない。なぜなら「タイトルをとった数が一番重要」だから、である。

Reported by 白井邦彦