梅雨時の蒸し暑さが肌にまとわりつく状況下の明治安田J3第17節・福島戦(●1-2)。前後半に1失点ずつ喫し、終盤にかけて点差が縮められず敗色濃厚の予感が漂う中、先発出場の岡澤昂星が強い根気を見せた。
87分、左サイドで起点となる高安孝幸のクロスを機にゴール前は混戦状況。そしてシュートのこぼれ球をいち早く岡澤が拾い上げる。「最近は全体練習が終わったあとの自主練でミドルシュートの予行演習をやっていて、もっと積極的に打って、もっと結果を求めていかないといけないなと思っています」と、今季全試合フル出場と経験値を上げ続ける岡澤は瞬時に有言実行。相手のプレッシャーがかかる前にペナルティアーク手前から躊躇なく右足を振り抜くと、ライナーの軌道で一度もバウンドすることなくゴールの左下を突き刺した。1点差としたチームはすぐさまボールを拾い上げ、皆急いで定位置に。途中から野田隆之介より譲り受けたキャプテンマークを巻いた岡澤は味方を鼓舞し、気骨のある姿を見せた。結果として追い上げ及ばず6試合ぶりの敗戦を喫したが、岡澤が示した1ゴールは観ている者の心に「ただでは転ばない諦めない姿」をしっかりと植え付けられたことだろう。
福島戦の前まで「ここ5試合負け無しで、どこか気持ちで浮かれてしまっていたかもしれない」と、今回の敗戦を改心のキッカケにしたいと岡澤。ゆえに「もっと僕たちが上に行くためにも、ゴール前だけでなく中盤エリアからでもどんどんゴールを意識するプレーを見せ、常に相手に恐怖を与え続けなければ相手の堅い守備は崩しきれない。自分たちから何かを起こすことが必要」と、これまで以上に前向きなプレーの必要性を念頭に置いた。
「守備もまだまだ甘いところがあるし、このままでは(今節の)大宮に勝てない」と話す岡澤の危機感はチーム全体が共有しているところ。福島戦で見せた根気強さを勝利に変える。その証を目の前の一戦で見せつけてほしい。
Reported by 仲本兼進