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【取材ノート:今治】勝利のために、横山夢樹は全力で駆ける

2024年6月15日(土)


レギュラーの座をつかんだと言い切るには、まだ早いかもしれない。しかし今シーズン、帝京高校からFC今治に加入したFW横山夢樹は、第15節・松本山雅FC戦(〇2-1)、第16節・FC琉球戦(●0-1)と連続で先発。ベテランFW阪野豊史と2トップを組み、攻守に走り続けてチームを活気づけていることは確かである。

プレッシャーのかかる状況で迎えた松本戦だった。開幕から4連勝と好スタートを切りながら、チームは4月の終わりから急激に失速して4連敗中。アウェイという難しさも加わる中、9分に先制ゴールを奪われてしまう。

難しい展開で、18歳のアタッカーが躍動した。31分、左サイドの高い位置でトーマス モスキオンとパス交換すると、自分をマークする相手と見合うように止まった状態から一瞬でボールを縦に持ち出し、ゴールライン際から左足で折り返す。マルクス ヴィニシウスが押し込んで、貴重な同点ゴールが生まれた。かつてサンプロ アルウィンで躍動し、現在はサガン鳥栖でプレーする横山歩夢の弟ということで、松本サポーターにはいっそう衝撃的な突破からのアシストになったかもしれない。


松本に逆転で勝利したチームは、アウェイ連戦での連勝に臨んだ。雨で蒸し暑い中で際立ったのは、阪野と2人で前からどんどんプレッシャーを掛ける姿だ。

ボールを奪えなかったとしても、相手の攻撃を減速させて、蹴らせて自分たちのボールに変えていく。75分に交代するまで、自身が放ったシュートは1本にとどまったが、チームが試合を進めていくための重要な守備のタスクを怠らなかった。

前からのプレッシャーがいかに重要で、機能していたか。それは、阪野とともにベンチに下がった後の87分、最終ラインからプレッシャーが掛かっていない状態でロングボールを蹴られてサイドを崩され、決勝点を奪われるという、悔しい形で逆に証明されることになった。


「山雅戦はアシストという結果を出せましたが、琉球戦は守備に追われる時間が長く、攻撃に力を使えなかった反省があります。プレスに行くところと行かないところを、もっと周りを見ながらできるようになりたいです」

プレスについては、トレーニングから「こういう場面では思い切って行こう」「相手がこういうポジションを取っているなら我慢しよう」と、阪野と密に話し合いながら磨きを掛けている。整理できつつあるプレスを、能動的に掛けたい意欲も高まってきた。

「後ろが連動しているかを意識しながらプレスに行くことが大事ですが、自分たち(FW)からスタートを切りたい状況も、だんだん見えつつあります。後ろに付いてきてもらえるよう、行くときは行きたい。自分が奪い切れなくても、ボールを蹴らせて回収できれば、攻撃の可能性が高まるし、自分の良さを出すことにもつながります」

アタッカーらしく、守備に大いに力を注ぎながら、その先にはしっかりとゴールを見据えている。何より、ボールを持って仕掛けるプレーが真骨頂だ。

「山雅戦で縦に突破してクロスを上げたようなプレーを、もっと出していきたいです。相手をかわすとか、いなすようなボールの持ち方ではなく、抜き切りたい。前からプレスを掛けることもやっていきたいし、次の相手であるSC相模原は積極的に前から来る分、背後のスペースを狙いやすいだろうし、誰かが抜ければ自分はライン間でボールを受けるイメージもできています」

攻撃でも守備でも、持ち前のスピードを発揮すれば、それだけ相手の脅威になる。ピッチに立てば、どんどんプレッシャーを掛けていく。

Reported by 大中祐二