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【取材ノート:今治】熱く鼓舞するセランテスが流れを変える

2024年5月31日(金)


チームはリーグ戦4連敗中で、先週の天皇杯1回戦では三重県代表のヴィアティン三重に0-1で敗れ、ついに公式戦5連敗。開幕4連勝という最高のスタートを切りながら、まさかの大失速に陥っている。悪い流れを断ち切る存在として期待されるのが、FC今治在籍2年目のGKセランテスだ。

アビスパ福岡時代にJ1昇格に貢献するなど、実績十分のスペイン人GKは、開幕から良い状態をキープしていたが、3月22日のトレーニング中に左太ももを負傷。復帰に2カ月近くかかってしまった。

「けがをするまでとても調子が良かったので、早く戻ることだけを考えていました。今、苦しい状況にあるチームを助けて、変えていきたい」

天皇杯の三重戦で久々に公式戦のピッチに立つと、俊敏なフットワークでシュートを止め、仲間を熱く鼓舞して、チームに活気を与えていた。

「自分の長いキャリアの中で、良いときも悪いときも経験しています。今は、みんなが自信を取り戻すことが何より大事です。もう一度、チームが一つになって、顔を上げ、自分は後方からよりコミュニケーションを深めながらやっていきたい。

今治にはリオネル メッシもキリアン エムバペもいません。頼れるビッグプレーヤーがいないのだから、自分たちでやっていかなければならないのです。試合で失点したとして、『自分たちには引っ繰り返せない』というふうに考えてはいけないし、自信を失くしてはいけません」

熱血の守護神が、ようやく今治のゴール前に戻ってきた。その豊富な経験を、J2昇格というチームの大きな目標のために、存分に生かしていく。

「自分はサッカーの先輩として、このチームを支えていきたい。試合中の自分は、ときにはまるで怒っているかのように周りから見えるかもしれない。でもひとたびピッチを離れれば、みんなとハグし合って家族のようなきずながあるんです。チーム最後尾の選手として、すべてが見えているので、力の限り支えていきます」

次節は、勝点で並ぶ松本山雅FCとのアウェイゲーム。昨シーズンのサンプロ アルウィンでの試合も、監督交代後、連敗の再スタートという難しいシチュエーションで臨んだ。レギュラーGKの座を奪回したばかりのセランテスは、試合終了間際の1対1のピンチを見事にストップ。勝利こそならなかったが、1-1で引き分けて連敗を止める上で、大きな仕事をやってのけた。


「自分が主役にならないことを、いつも願っているんですよ(笑)。フィールドプレーヤーがゴールを決めてスポットライトを浴び、GKは極力プレーしないことが一番です」

それでもやはり、ピッチ上で熱く戦う姿が目立たないはずがない。チームが迷い込んだ難しい流れを断ち切るために、闘争心を大いに燃やしている。

Reported by 大中祐二