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【取材ノート:琉球】「見せてほしい純度の高い熱量とガムシャラさ」

2024年5月23日(木)
JリーグYBCルヴァンカップにおいて1stラウンド第1回戦の藤枝戦、続く第2回戦のG大阪戦と下剋上を成し遂げた琉球。プレーオフラウンド進出をかけ、22日の第3回戦でC大阪をタピック県総ひやごんスタジアムに招き入れた。



今季ホーム戦無敗の強みも、違いを見せる格上チームの推進力に序盤から押し込まれた。特に、トップ下でプレーしたC大阪の上門知樹が見せる古巣戦への強い思いは序盤から明確で、はばかることなくトップスピードで牙を剥く姿に観客も固唾を呑んだに違いない。

開始6分にCKからC大阪の平野佑一にヘディングシュートで先制されるも、17分にDOGSOで退場者を出したあとから琉球が反撃体制。しかし守備意識を高めた相手を前に狙い所の背後への進入が難しくなり、平松昇の対角シュートがわずかにゴール右枠を捉えきれない場面もあったが「そこまで迫れた感覚はなく、相手に脅威を与えられなかった」(富所悠)と、こじ開けるに至らなかった。

たとえ数的優位でも上門を頂点に[4-4-1]でソリッドな陣形を敷くC大阪に対して崩すのは容易ではない。それでもパスをつないで攻撃を組み立てる「自分たちのサッカー」を相手のプレッシャーがかからないからこそ貫き通せてしまい、結果論ではあるがそれが足かせになったようにも見えた。

後半から出場した高安孝幸がドリブルで相手を引き出し、スペースを生み出す場面はあったものの、この試合で何度か浴びたロングカウンターの脅威を覚えたせいなのか、ワンタッチで戻したり横に叩く場面も著しく、ボールが入った瞬間の個の動きとアイディア、何よりチーム全体でどれだけの反骨心を抱いて立ち向かえたのか。一度G大阪を下したときと同等、それ以上に「肉を切らせて骨を切る」というメンタルも持ち合わせて実際に挑めたのか。

「普段のリーグ戦と違って全然自分の良さが出せなかった」と振り返った富所の言葉の主語は相手ではなく、自分たちにあると察する。

攻守でガムシャラにひたむきに、見ている人たちの心を動かすプレーにおいても相手に軍配を上げざるを得ないこの試合を糧にしなければならない。「負ければ次がない」というヒリヒリしたカップ戦でその経験を得られたことは紛うことなき大きな価値であり、白井陽斗が漏らした「悔しい」という言葉を是が非でも力に変え、J2昇格を目指すリーグ戦で発揮してほしい。


Reported by 仲本兼進