5月12日、天皇杯県予選決勝で四国サッカーリーグのレベニロッソNCを6-1で破ったチームは、4年連続で愛媛県代表の座をつかんだ。
右サイドバックとして先発し、今シーズン公式戦に初出場した野口航にとっては、めぐり合わせの一戦でもあった。昨年4月、天皇杯県予選準決勝のレベニロッソ戦で右ひざ前十字靭帯を損傷し、全治8カ月の重傷を負って以来の試合出場となったからだ。
「同じ大会、同じ相手ということで感慨深い」としながらも、「自分の試合への持っていき方として、『今日は特別だから』と気負うことはない。いつも通りを意識した」という言葉通りに、雨でぬかるむコンディションの中、試合終盤には力強いオーバーラップからアシストもマーク。フル出場して存在感を見せた。
「この1年、いろいろな感情を味わいました。だからこそ、こうしてサッカーができることが本当に幸せで、『やっぱり公式戦はいいな』と心から感じました。90分、ひざも問題なくやれるところを示したと思います」
かなりの雨だったにも関わらず、巧みなボールコントロールと判断力を随所に発揮した。チームは開幕4連勝と好スタートを切りながら、ここにきてリーグ戦3連敗中。流れを変える期待も高まる。
「自分にしかできないプレー、カラーがある。今、チームに必要なのは、攻撃で時間をつくり、落ち着かせること。自分はそれを担うことができます」
チームは今、ボールをつなぐ意識を見失わず、上昇するきっかけをつかもうともがいている。出番が来れば、復帰戦を戦い抜いたメンタリティーで貢献する覚悟だ。
「むやみに蹴らずにパスをつないで攻めることは、キャンプから取り組んできた自分たちのスタイル。怖がらずにチャレンジしていきたい」
ホームゲームを「スタンドから見るのはもう飽きた」。アシックス里山スタジアムのピッチに立ち、勝利に貢献する瞬間のために、100パーセントの準備を続ける。
Reported by 大中祐二