大宮アルディージャは5月11日、NACK5スタジアム大宮で行なわれた2024年度彩の国カップ 第29回埼玉県サッカー選手権大会決勝に出場した。今シーズン明治安田J3リーグで戦う大宮は、天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会のシード権がない。そのため、埼玉県予選を兼ねるこの大会に、第3回大会での優勝以来実に28年ぶりに出場することとなった。
相手は東京国際大学FC。関東大学リーグ1部で戦うトップチーム入りを目指し、関東サッカーリーグ1部で揉まれているチームだ。
立ち上がりこそ攻勢に出た大宮だったが、東京国際大学FCのタイトな守備に、徐々に攻撃が停滞し始める。じりじりとした展開でスコアレスが続く。延長戦に入った後は再び攻勢を見せたが、それでもスコアは動かず、試合時間は120分を過ぎようとしていた。
アディショナルタイムに入ったところで、泉柊椰がファールを受け、ペナルティエリアすぐ外でフリーキックのチャンスを得た。試合を決める絶好の、そして最後のチャンスだった。
清水祐輔は、泉に自分で蹴るかどうかを訊いたと言うが、泉は「(ファールを受けて)足が痺れていたのもあるんですけど、今日は俺じゃないなって」と振り返る。
「あいつ(清水)が(フリーキックの)練習をしてることは知っているし、決める確率で言えばたぶん僕よりも祐輔のほうがあると思っていました。やはり練習している人が蹴るのがいいと思います」(泉)
大学時代にも決めたというフリーキックにさらなる磨きをかけるべく、清水は全体練習後にコツコツと取り組んできた。かつての名手、島田裕介コーチのサポートもあった。
最終的にボールの前には清水と中野克哉が立ち、位置的に右足のキッカーが蹴るほうがいい、ということで清水が蹴った。ボールは緩やかに弧を描きながら壁を越えると、クロスバーすれすれを通過し、ゴールネットを揺らす。そのまま試合終了のホイッスルが鳴るという、劇的なゴールとなった。
「壁の上を越えていけば入ると思っていました。蹴った瞬間に入ると思いました」
チームを窮地から救った起死回生のフリーキックとなったが、清水自身も明治安田J3リーグでは、第10節を最後にメンバー外が続いていた。巡ってきたチャンスで結果を示し、出場機会をつかむ必要があった。
「こういう時にアピールするしかないので、出たらやってやろう、というのはありました。運動量を活かしてチームのために走ったり、攻守において絡んでいけるように、チームの助けになれるようなプレーをして(試合メンバーに)食い込んでいきたいですね」
チームを勝利に導いただけではない、貴重なプロ初ゴールとなったことは間違いない。フリーキックという新たな武器で、メンバー定着を目指していく。
Reported by 土地将靖