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【取材ノート:清水】中村亮太朗、蓮川壮大、住吉ジェラニレショーン……クラブ改革も象徴する移籍組の活躍と成長

2024年4月19日(金)
昨年は一度も立てなかった首位に9節から立ち、J1復帰に向けて好スタートを切っている清水エスパルス。新キャプテン北川航也の躍動や、昨年から変わらぬ乾貴士、カルリーニョス ジュニオらのクオリティも大きいが、もうひとつ見逃せないのが、移籍加入してきた日本人選手たちの活躍だ。

開幕からボランチの中村亮太朗、センターバックの蓮川壮大、住吉ジェラニレショーン、攻撃的MFの松崎快らが主力としてコンスタントに出場し、それぞれ自分の特徴を存分に発揮しながらチームを牽引している。

「超攻撃的、超アグレッシブ」にジャストフィット

わかりやすい例では、蓮川と住吉は非常にスピードと1対1の強さがあって裏に蹴られても危なげなく対応ができるため、昨年よりもDFラインを高く保つことができている。それは秋葉忠宏監督が掲げる「超攻撃的、超アグレッシブ」なサッカーを体現するためには欠かせない要素となる。もちろんゴール前でも強さを存分に発揮して、失点の少なさに貢献している。

中村は、ビルドアップの安定だけでなく、攻撃のスイッチを入れるパス、危機察知能力の高さや身体を張った守備など多くの面でボランチとして高い能力を見せ、昨年から在籍しているかのような文字通りの中心選手となっている。

松崎も、先発は4試合だが全10戦に出場して一味違う閃きのあるプレーを連発。MF矢島慎也とGK沖悠哉はまだ見せ場が少ないが、練習から能力の高さや貪欲さを発揮してチームに良い刺激を与えていることは間違いない。

クラブとしても成功体験に

「名より実」と言っては彼らに失礼だが、秋葉監督のサッカーにマッチする特徴や確かな実力を備える選手を的確にピックアップしたことが、開幕早々からの活躍につながっている。当然、獲得に向けては秋葉監督の意向も大きく反映されているという。

「もちろん僕の声だけでなく、強化部とかコーチングスタッフとかいろいろな人の目でトータルして考えて、話し合って、我々が目指す方向性に合致する選手を獲得してくれたと思います。5年連続で監督が途中で変わるというのは健康な状態ではないですが、(今年の)これがクラブとして当たり前のことですし、正しい姿だなと。あとはこれをしっかりと結果に結びつけて、クラブとしての成功体験を積んでいくことが大事だと思っています」(秋葉監督)
 
外国籍選手でもルーカス ブラガが着実に本領を発揮し始め、今季ほど早くから補強戦略が成功しているシーズンは近年では見られなかった。クラブ全体での改革の必要性が指摘されている中で、ひとつの成果が表われていると言えるだろう。

「練習から気を引き締めないと自分が浮いてしまうので」

もちろん自分自身のステップアップも考えて清水への移籍を決断した選手たちにとっても、「来て良かった」という思いは強くなっている。

「広島時代の約2年半でリーグ戦は15試合、カップ戦でも何試合か出させてもらいましたけど、やっぱり試合に出続けていないと、良いところ悪いところ、改善するところもわからない部分があるので、試合に出たいということで今回移籍してきました。そういう意味で今は、1試合1試合出ている中で見えてくることが多くて、そこを自分で改善して良くなってきている部分が多いと思うので、求めていたことができていると思います」(住吉)

「今は清水でやっていてサッカーが楽しいです。でも、自分自身まだまだ成長しないといけないと思いますし、納得のいかない試合もまだたくさんあります。チームとしても、もっとこうしたいと感じるところはあるので、これから試合を重ねながらもっともっと良くなればいいなと思います」(中村)

選手自身にとってもクラブにとっても得るものが大きいというのは、まさに移籍の望むべき姿。清水という環境だからこそ、伸ばせている部分があると蓮川はつけ加える。

「技術の高い選手が本当に多いので、練習から本当に気を引き締めないと自分が浮いちゃうような状況が出てくるんですよ。だから今まで以上に練習中の緊張感を持つようになりましたし、ピッチ外でも意識の高い選手が多いので、本当に良い刺激をいろんな選手からもらっています。練習での1本1本のパスのこだわりが試合に出てくると思いますし、それは実際に試合に出ながらプレーの精度とかいろんな部分で感じることができています」(蓮川)

彼らがより成長し、貢献度を増していくことで、既存の選手にも大きな刺激が加わり、競争が激化してチーム全体の成長を加速させていく。そんな好循環を生んでいくことが次のテーマになるだろう。それによって首位を守るだけでなく、2位以下を突き放していくことにもつなげていってほしい。

Reported by 前島芳雄