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【取材ノート:琉球】問題解決に向けて、4バックへの新たなトライ

2024年4月17日(水)


明治安田J3リーグ第10節が開催された14日、長野をホームへ迎え入れた琉球は4−3で乱打戦を制し、3試合ぶりの勝利を手にした。


この試合では第2節の松本戦以降コンディション不良で調整していたフォワードの岩渕良太がスタメン復帰したほか、開幕時から採用していたシステム[3−5−2]を[4−4−2]へ変更。これにより、これまで2トップの一角を担った富所悠が左サイドハーフへ、センターバックでのプレー機会が続いていた藤春廣輝を本職の左サイドバックへと移すマイナーチェンジを施した。

琉球は長野戦直前の2試合で1得点しか奪えておらず、奪った得点も第8節・八戸戦での白井陽斗のPKによるもの。翌節の北九州戦では今季2度目の無得点に抑えられ、2敗目を喫した。北九州戦を経て「崩してゴールを奪うというところでまだまだ力不足」と話した金鍾成監督。敵陣への進入回数は作れてもシュートへの構築が乏しく、前線の手詰まり感は否めなかった。



「ボールを収めた瞬間、目の前にいるのは(白井)陽斗だけだった」と話す富所は、これまで最前線でくさびのパスを受ける場面が多い。しかし3バックの場合、カウンター時に3人目の動きでアクセントを加えるウイングバックとの距離感が遠く、3人で構築するセントラルミッドフィルダーも相手の背後への進入が単純で、つなぐことであったり(攻撃から守備の)ネガティブトランジションの意識が先んじてシュートへの選択肢が少ない状況もあった。

しかし4バックにすることでフォワードとサイドハーフとの距離は縮まり、3人目の動きが明確に。長野戦では右の幸喜祐心が1アシスト、左の富所が1ゴールと両サイドハーフが得点に絡んだ。なおかつ岩渕の復帰も攻撃の幅を広げる機会となり、彼が内外と敵陣を動き回ってスペースを作り出して攻撃の起点となり、連動性とアドリブ、コンビネーションが目覚ましかった。

自陣に人数を揃えやすく相手を迎撃しやすい3バックのメリットも試合展開によって今後も生かされることだろうし、4バックとの可変が可能となる一方で臨機応変に対応するためのコミュニケーション能力も一層問われる。併用するための戦術眼と体力も必要だ。ただ、4バック初陣の長野戦で目に見える結果を生んで勝利につなげたことはポジティブである。

Reported by 仲本兼進