3月30日、ホームで行われた明治安田J3リーグ第7節・富山戦で3CBの中央に立った琉球のDF鈴木順也のロングボールが試合の流れを変えた。0-1でビハインドの場面で迎えた50分、センターサークルの右後方付近から鈴木はインフロントキックで膝から下を早く振り抜くように鋭いパスを前線へ供給。対角線上へ空いたダイアゴナルを突くFW白井陽斗へと渡り、ボックスへ進入した際に倒されPK獲得。このプレーで同点に追いついた琉球はその後逆転し、3-1で勝利。昨季2連敗を喫した難敵から貴重な勝点3を手にした。
今年鳥取から加入した鈴木のロングボールは大きな攻撃の武器となっている。開幕節・奈良戦(〇2-1)でも鈴木―白井のホットラインから34分の2点目のゴールをお膳立て。第5節のYS横浜戦(〇2-1)では、左WB吉本武の背後への飛び出しを促し、GK児玉潤(現・札幌)との1対1の場面を演出。惜しくも決めきれなかったが、リーグ戦序盤から鈴木の1本のパスで好機演出を重ねている。
「裏のアクションがないと手前も空いてこない」(鈴木)と、引いた相手を崩す局面でもロングパスは有効利用できる。立正大の2つ後輩のMF平松昇は「大学のときから自分もそういうボールが蹴れたらなと憧れるぐらいのきれいな球筋。生まれ持った才能だと思います」と激賞。「守備のことはあんまり言わないけど、攻撃のところで違いを作ってほしい」と、金鍾成監督も全幅の信頼を寄せる。
「自分も今年28歳なので、リーダーシップを発揮してもっとやっていかないと」と、覚悟して今季に挑む鈴木順也。チームファーストで気の優しいDFリーダーは、攻守で主軸を担う。
Reported by 仲本兼進