大宮アルディージャは3月5日、東洋大学所属の中山昂大の2025シーズン加入内定と、特別指定選手としての選手登録が承認されたことを発表した。
小学生年代から大宮アカデミーに所属、年次では大澤朋也や柴山昌也(現セレッソ大阪)と同級になる。アカデミー所属の頃から周囲の評価は高く、将来の大宮を担う存在として注目されてはきたが、とにかく怪我が多かった印象がある。高校2年次はほぼフル稼働したものの、翌年は戦線離脱し公式戦出場なし。大学進学後はコロナ禍であまり取材できなかったこともあって、今季の開幕前にトップチームの練習に加わっていたものの、恥ずかしながら筆者にとって加入内定はノーマークだった。
「大学でも試合にずっと出ていたわけでもないですし、怪我もあって結構苦しんだので、戻ってこられて良かったです」
加入内定と同時に特別指定選手として登録されたのは、「昂大はプレシーズンもずっと我々と一緒にプレーしていた。もちろん戦力として考えている」(長澤徹監督)から。カップ戦を含めた3月13日からの4連戦は、長澤監督も「今シーズン最初の山場」と捉える。その山場を切り抜けるためのピースの1つでもあった。
果たして、3月13日のJリーグYBCルヴァンカップ 1stラウンド 第1回戦のFC岐阜戦で、先発メンバー総入れ替えとなった中に名を連ねた。トップ下に位置取ったが、岐阜の攻勢もあってなかなか持ち味を出せなかった。
「最初は、守備で前から行ってもはまらなかった」
長澤監督も、「前半のうちはなかなかバランスが定まらなかったので、どうすればいいかと立ち位置を変えながらやっていました」と明かす。
戸惑いの前半から、後半開始時にボランチへポジションを移したことで徐々に落ち着きを取り戻すと、中山本来の“ボールを多く触る、受けて出す”といったプレーが見られるようになってきた。その中で、決勝点となった種田陽のプロ初ゴールの起点にもなった。こぼれ球を回収した清水祐輔からボールを受けると、テンポ良く右サイドの種田へ送った。そのパスには、まるで「仕事をしてこい」とのメッセージが込められていたようにも見えた。
全員でもぎ取った勝利。だが、試合後の中山の表情は冴えなかった。
「デビュー戦はとても苦い試合でした。勝ちは勝ちなんですけれど、個人として何かできたかというとそうではなかったですし、改善点のほうが多く出た試合だったと思います」
そう振り返ったが、例えばプロ新加入1年目のデビュー戦でそれを知るのと、知った上で今年学生最後のシーズンに臨めるのとでは意味合いがまったく違うはずだ。プロの基準を体感した上で課題に取り組める、そのための最高の予習になったはずだ。
来年、さらに大きく成長した姿で正式な大宮の一員となってくれるよう、期待は尽きない。
Reported by 土地将靖