目標としてきた場所へ、ようやくたどりついた。しかし、その目標は決してゴールではなく、新たなスタート地点である。1月14日、サポーターも観覧した中で行なわれた大宮アルディージャの新体制発表記者会見で、村上陽介はその思いを強くした。
「本当にいろんな人に応援されていると実感しました。改めて、やらなきゃいけないという覚悟が決まったような感じです」
大宮アルディージャU18に所属していた2019年、FIFA U-17ワールドカップに出場。将来を嘱望され、さらなる成長を期待されて明治大学に進学したが、活躍の報はなかなか届かなかった。決して順風満帆の大学生活ではなかったかもしれないが、それでももがき続け、大学最後の大会となった昨年のMCCスポーツpresents 2023年度 第72回 全日本大学サッカー選手権大会では準決勝を除く全試合に先発出場し、大会優勝を勝ち取った。
「うまくいかないことが多かったことが、自分自身を確実に成長させてくれたと思います。最後にもう一度這い上がって、チームを全国優勝に導けたのも大きな自信になりました」
大学では個人スキルの強化に加え、大宮アカデミーとは異なるハイプレスショートカウンターを落とし込み、引き出しを増やすことができたと言う。他のポジションに比べれば決して層が厚いとはいえないセンターバックで、開幕先発にも挑んでほしいところだが、あまり闘志をむき出しにはしていない。
「濱田(水輝)選手や(浦上)仁騎くん、(市原)吏音とライバルはいるんですけど、あまりそこに目を向け過ぎず、自分がいいパフォーマンスで120パーセントの力を出す、それで開幕スタメンを掴めるかどうかだと思っています。まずは自分がチームにどう貢献できるのか、チームへの献身を一番に考えて戦っていきたいです」
背番号は34。大学時代や大宮U18時代に背負った3番を希望しなかったのか、その問いかけに返ってきた言葉が頼もしい。
「大宮にとって3番は特別な番号だというのは僕もわかっています。それにふさわしい選手になった時にまた考えればいいと思っているので、1年目はしっかり自分自身として、そしてチームとしても結果を残すことを考えてやっていきたいと思います」
今季空位となった背番号3もまた、次の目標である。オレンジのユニホームを再び身に纏い、NACK5スタジアム大宮のピッチで勇躍する姿が、今から楽しみである。
Reported by 土地将靖