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【取材ノート:福岡】覚悟の帰還。北島祐二が誓う愛する福岡での活躍

2024年1月15日(月)


「おかえり」。1月13日、雁ノ巣球技場での2024シーズン初めての公開練習。多くのサポーターから北島祐二に温かい声が掛けられた。

アビスパ福岡のアカデミー、ユースで育った23歳のアタッカー。2019年にトップチームに昇格すると、2022シーズンの序盤、自身の武器であるキックの質の高さとドリブルを活かしてJリーグYBCルヴァンカップで活躍を見せ、その後のリーグ戦でも出場機会を掴んだ。だが、夏場以降は伸び悩み、出番が減っていく中で、その年のオフに東京ヴェルディから期限付き移籍のオファーが届く。

「試合に出ていたときは成長を感じれていたので、試合に出れば出るほど自分の力が上がっていくという感覚がありました。一昨年は(試合に)出れないもどかしさを感じながら終わっちゃって、やっぱり試合に出たいというのが一番強くて、それを求めて試合に出て、成長して、また(福岡に)帰ってくるんだという思いで行きました」

プロ人生初めての移籍。自身の特長を伝え、味方の特長を理解する過程の中で当初はチームメイトとのイメージの共有に難しさを抱えていたと言う。それでも、沢山の人に支えられながら試行錯誤を繰り返し、来るべき日に備えて毎日、懸命にもがき続けた。

「本当にアピールし続けて、し続けて。感覚的には手応えも感じていたんですけど、それがストレートに出場機会につながるほど簡単ではないので、その中でも折れずにアピールし続けました。毎日のアピールというのが実を結んでの去年の(出場)試合数なので、そういった意味では、本当にもがいた時期もあったんですけど、それも全部含めてもがきながら出場機会を掴むという経験もできたので、そこは自分の芯になる。幹になる部分は掴めたのかなと思うシーズンですね。守備の部分というのは一昨年から勉強して試合で実践するというのはやってきたので、それを去年の(試合に)出ている時期にやり続けることもできたので、そういう守備の部分での成長というのもありますし、ドリブルを仕掛ける回数というのも一昨年よりも去年のほうが圧倒的に多いので、ドリブルの感覚だったり、抜き切る感覚というのはより高まったのかなと思います」

シーズン終盤は怪我によって出場機会が減ったが、キャリアハイとなるリーグ戦28試合に出場し、3ゴール・4アシストを記録。北島にとって実りある1年を過ごし、2023年のシーズンオフ、福岡から復帰の声が掛かる。

「自分がこのクラブで育ってアビスパのルヴァンカップ優勝も見てましたし、あそこに自分が入って自分がチームを勝たせてああいう舞台に立ちたいと思ったので、戻ってこれるとなった時は即決でしたね」

再び戻ってきたJ1の舞台。攻守においてより強度高く、スピード感のあるプレーが求められる中でどれだけ成長した姿を見せられるか。福岡を愛し続ける男は次のように考えている。

「サイドで仕掛けることもできるし、中に入って味方とつながりながらボールを前進させることができるので、外に張っても仕事ができる。中に入っても仕事ができるというどっちもできる選手はなかなかいないと思うので、3-4-3であればシャドーで4-4-2であれば左サイドハーフで、自分の他の選手にはない特長で勝負していければいいものは見えてくると思うので、そこを目指したいですね。J1でどれくらいできるのか楽しみです」

昨シーズンはユースの後輩である森山公弥がルヴァンカップ決勝の舞台に立ち、予選リーグではユースの選手たちが頑張りを見せてクラブ初タイトル獲得へのバトンをつないだ。それを目にして福岡のアカデミー、ユース出身の北島の想いはより強くなった。

「やっぱり育成の選手、ユース上がりの選手が活躍しないと。活躍するクラブが本当に強いクラブだと思いますし、そういう小さい頃から育った選手がいないとそのクラブの価値というのは上がらないと思うので、僕や(森山)公弥のようなアカデミーで育った選手がああいう舞台で何人立てるか。できるだけ多くというのがどのクラブも目指しているところだと思うので、そこはアビスパの価値を高めていくためにも僕たちがもっともっと試合に出て活躍してこのアカデミーの価値を上げていかないといけないと思う。そこはもっと試合に出てからじゃないと始まらないので、(出場機会を)掴みにいってできるだけアカデミー(やユース出身)の選手が多いような流れを作りたいと思います」

今シーズンの個人目標はゴールとアシストを合わせて10点に絡むこと。武者修行を経て逞しさを増す背番号25の勝負の1年が始まった。

Reported by 武丸善章