12月27日、高円宮杯 JFA 第35回全日本U-15サッカー選手権大会の決勝が、味の素フィールド西が丘で行なわれ、鹿島アントラーズジュニアユースが優勝、大宮アルディージャU15は3度目の準優勝となり、またも同大会の初戴冠はならなかった。
試合内容などの詳細は他に譲るとして、ここではスタンドに目を向けたい。大宮U15が1回戦、2回戦と勝ち抜くと、徐々にOBが顔を出すようになった。他のクラブもそうなのかもしれないが、そこには気付けぬ故、大宮アカデミーのOBはクラブ愛が強い、後輩思いの選手が多いんだなあ、と勝手に思い込んでいる。
準々決勝のサンフレッチェ広島F.Cジュニアユース戦には柴山昌也(セレッソ大阪)が来場。試合会場は彼の実家からも近いしな、と思っていたら、吉永昇偉(愛媛FC)が同期の高柳郁弥と連れ立って応援に駆け付けていた。
準決勝からは会場が味の素フィールド西が丘になり、来場OBの数も増した。大澤朋也、阿部来誠と来ていたのは、来シーズン大宮に新加入する村上陽介(明治大)。前日に行なわれたMCCスポーツpresents 2023年度 第72回 全日本大学サッカー選手権大会に勝利し、大学チャンピオンになったばかりの村上のサポートは、選手たちにとって大きな刺激になったのではないだろうか。
決勝は、そうした面々が一堂に会した。もちろん第一義は後輩たちの応援なのだろうが、プロ選手だけでなく、大学に籍を置き現役を続けている者、そうでない者が旧交を温めるなど、さながら同窓会といった様子だった。
こうした先輩たちの熱心な応援を受けたU15チームの選手からは、また違った形のクラブへの思いが聞かれた。キャプテンの神田泰斗は試合後、「ここまで勝ち上がれて、自分たちの価値を示せたのは良かったですけど、トップチームは来年J3なので、優勝という形でアカデミーからいいニュースを発信していきたいという気持ちもありました」と、単に自分たちの結果を追求していただけではないことを明かしてくれた。試合後の涙に、そうした思いも含まれていたのかと思うと、何とも言えない気持ちにさせられた。
中学生年代の大会を、今回初めて1回戦から決勝まで取材させていただいた。もちろん本題は試合結果、競技の中身なのだが、それとは別にクラブ愛、ロイヤリティというものが醸成されていく過程とその結果を同時に見たような、そんな気持ちになった取材であった。
Reported by 土地将靖