感極まる光景だった。明治安田生命J3リーグ最終節。AC長野パルセイロはホームでテゲバジャーロ宮崎に2-2と引き分け、6試合負けなしでシーズンを締めくくった。66分に生まれた“今季ラストゴール”は、ここまで7得点を挙げながらも契約満了が発表された山本大貴の左足から。決まった瞬間、ベンチメンバーを含めた全員が彼のもとに駆け寄った。
真っ先に抱きついたのは、アシストした杉井颯だった。左サイドでボールを受け、クロス気味に鋭いグラウンダーのパスを入れる。山本がトラップし、左足で狙いすましたコントロールショットを沈めた。
「(杉井)颯が自分のことを見てくれて、あとは思い切り狙った。颯のアシストでゴールができたのも、自分の中では嬉しかった」。そうスコアラーの山本が言えば、杉井もX上で「いつもお世話になっているヤマ(山本)がゴールを決めて、アシストをつけてくれて最高に嬉しかった」と喜びを綴る。
練習開始前の円陣が解かれてウォーミングアップに移る際、彼らは先を争うように走り出す。それに引き寄せられるかのように全員が集い、和やかなムードでトレーニングが始まる。チームコンセプトである『Run Fast』を体現していた盟友コンビ。そんな2人が生んだ今季ラストゴールは、見る者の心に深く刻み込まれた。
Reported by 田中紘夢