少し意外だった。
明治安田生命J2リーグ第42節、大宮アルディージャ対東京ヴェルディが終わった後の最終戦セレモニー。挨拶に立った原崎政人監督へ送られたのは、拍手よりもブーイングのほうが大きかった。結果を出せなければ評価されないプロの世界、といったところか。その気持ち自体はわからなくもない。
第16節いわきFC戦に敗れ、解任された相馬直樹前監督の後を受けて監督に就任。「ヘッドコーチとして最後まで相馬監督を支えきれず、非常に悔しいですし、自分の力不足にものすごく責任を感じています」と話す一方、「成績を残すのが我々の仕事。選手たちがもう一度思い切って自信を持って勇気を持って戦える、そういうチームを作るために、自分がやれることがあるんじゃないか」と気持ちを奮い立たせた。成績不振の責任とクラブの成績を残す責任との葛藤の中、指揮を執る決断をした。
だが、そう簡単に事は運ばない。そもそもは相馬前監督のために用意された編成。就任初戦となった第17節ベガルタ仙台戦に引き分け、天皇杯2回戦のジェフユナイテッド千葉戦で自身の公式戦初勝利を挙げたが、J2リーグでは第18節から第23節まで6連敗と結果が出なかった。
「自分のやりたいサッカーをすべて出そうと思ったら、勝点は取れないという思いが正直ありました。なので、“こういうサッカーをしたい”というところと“勝点を取るため”というところのギリギリを攻めていきました。それでも勝点につながらなかったので、(その折り合いを)もう1段階下げて、という繰り返しでした」
就任当初は4-4-2で戦った原崎監督だったが、第23節FC町田ゼルビア戦で守備に重きを置く5-4-1にシステム変更。翌第24節の千葉戦で原崎体制でのリーグ戦初勝利を挙げ、第26節栃木戦以降は2連勝を含む5戦負けなしと勝点を重ねたが、第31節仙台戦から2度の2連敗。第36節徳島ヴォルティス戦からの4連勝は、再び4-4-2に戻し、前線からのプレスをより強化したサッカーとしてから。ベースとすべき戦い方を見出すのに時間が掛かり過ぎたという批判は免れないが、途中補強の戦力を含め、望む“チーム”がしっかりと用意されていたか疑問が残る中、指揮官にすべてを負わせるのは酷に思える。自身でも「今いる選手の最大値を出せなかったのは、まだまだ僕が足りなかったということ。悔しいですね。悔しさしかない」と振り返ったが、個人的には、困難なミッションに挑んでくれた労苦をねぎらいたいばかりだ。
すでに今季限りでの監督退任が発表されているが、仙台で指揮を執っていた昨年4月には月間優秀監督賞にも選出された指導者で、恐らくはまたどこかで指揮を執ることになるのだろう。それまでは、どうかゆっくりと骨休めしていただきたい。
ハラさん、お疲れ様でした。
Reported by 土地将靖