昇格争いに食らいついていくためにも、連敗することは許されなかった前節・FC琉球戦。後半、交代策でギアを上げたチームは畳みかけて3ゴールを奪い、終盤の失点はあったものの、3-1で勝利した。
キャプテンマークを巻き、ディフェンスラインを統率する23歳のセンターバック照山颯人は、前線に実績あるアタッカーをそろえた相手の攻撃を封じたことに手応えを感じている。
「セットプレーからの失点はありましたが、それ以外はそれほどピンチも作らず、ゴール前も最後はゴールキーパーのジョン(セランテス)と協力して守ることができました。自分たちはトーナメントのように一つ一つ勝っていかなければならない立場。ここで連敗したら昇格争いから脱落するところだったので、一つの重要な勝利になったと思います」
ベガルタ仙台からFC今治に育成型期限付き移籍していた昨季の22試合を越え、完全移籍となった今季は32節終了時点で31試合に出場。経験を重ね、自信も深まっている。
「特に守備の部分ですね。フィードやくさびのパスといった攻撃面は、仙台にいたときから自分の強みだと思っていましたが、守備の強度は足りなかった。競り合いやゴール前で体を張って守るところは、今治に来て成長していると実感しています」
今シーズン際立つのが、高々と跳躍してヘディングで相手の攻撃を跳ね返す空中戦の強さだ。昨季まではむしろ課題とされていたが、「もともと自分は空間認知能力が高い方。飛ぶタイミングや体のぶつけ方をすり合わせることによって、武器にできると思っていた」と、プレーの幅を広げている。
チームをまとめ、けん引するキャプテンシーが、2年目の今治での存在感をさらに強めている。髙木理己前監督(現AC長野パルセイロ監督)によって副キャプテンの一人に指名されたのは、開幕前のことだ。「大きな声を出すタイプではないし、性格的にも『自分でいいのかな?』と最初は思いました。でも今は、プレーで引っ張ることにこだわっています」と、責任感を体現する。
いよいよ、シーズンも大詰めだ。残り6試合のうち、ホームゲームが4試合。さらに11月のアウェイゲームは第35節・愛媛FCとの『伊予決戦』で、最終節のアウェイ、アスルクラロ沼津戦まで遠征を伴わず、腰を据えて戦うことができる。
「ホームの今治里山スタジアムで、大声援を受けてプレーできることは大きな幸せです。絶対に勝たなければならないスタジアムだし、サポーターのみなさんの気持ちを背負って戦えることは、本当に自分たちの力になる。地の利を最大限に生かし、勝ち続けます」
失点することなく戦い続ければ、やがて攻撃陣が必ず点を取ってくれる。仲間への厚い信頼を胸に、若きディフェンスリーダーがチームを勝利へと導く。
Reported by 大中祐二