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【取材ノート:琉球】「琉球でプロになりたい」渇望のU-18MF幸喜祐心が念願昇格

2023年10月20日(金)



FC琉球は今月7日、同クラブU-18でプレーするMF幸喜祐心の来季トップチーム昇格が決まったと発表。昨年昇格したMF津覇実樹に続くアカデミー出身のプロ選手輩出となった。狭いスペースでも前向きに展開力を示すことのできるボランチは、チャンスと思えばDFの背後を取るランニングでゴールを狙う積極性も武器である。



ビーチサッカーチームとして全国に名高い「ソーマプライア沖縄」のスクールでサッカーに触れた幸喜は地元宜野湾市の大山SCなどを経て、中学入学と同時に琉球のアカデミーへ入団。中学2年時に飛び級でU-18へ昇格を果たすと、2020年の中学3年時には2種登録選手としてJ2リーグ3試合でベンチ入り。実際出場は叶わず、森本貴幸(東京ヴェルディ)、久保建英(FC東京U-23)に次ぐ中学生でのJリーグデビューは果たせなかったが、「メンバー入りを経験し、FC琉球の選手としてプロになりたいと思った」と、幸喜自身が強くプロを意識するようになるタイミングだったと話す。



中学卒業後は、2018年に開校した高校「FC琉球高等学院」に入学。U-18に所属しながら午前中はトップチームの練習に参加しプロのプレーを一つひとつ肌で実感。そして午後は勉学に励むというスタイルで高校生活を過ごした。その間、2022年にU-17日本代表に選出され、J-VILLAGE CUPにも参加。出場した3試合で2ゴールをあげ、確かな手応えを掴んだ。今年初めてFC琉球U-18が戦うプリンスリーグ九州2部においてはこれまで全試合に出場し1ゴール2アシスト。その姿を間近で見ていた小寺一生U-18監督は、「彼自身がFC琉球のトップチームでプレーしたいというところを心がけて日々トレーニングし、向上心を持ってやってきた結果がトップ昇格につながったことを嬉しく思っている。ポテンシャルは十分で、プリンスリーグを通じて強度の部分でも成長していった」と話し、続けて「まだまだ足りない部分はあるが、トップチームで切磋琢磨して、一日でも早くプロのピッチに立つ姿が見たい」とエールを送った。



こだわった「点に絡むプレー」を実践し、念願だったプロへの切符を手にした幸喜の姿を間近で見たキン・ジョンソン監督は「ボールを持っているときの立ち方が良く、地元出身でもあるので育てがいがある。来年トップ昇格することになったが、今年1試合経験するしないで来年に向けて気持ち的にも大きく変わるだろう」と、2種登録選手として背番号45が与えられている彼が今年中にデビューする可能性を否定しなかった。それはもう、一人の練習生という扱いではなく、チームを勝たせるための選手として迎えられたという証。だからこそ熾烈なポジション争いを自分の手で勝ち抜く必要がある。特別扱いされる立場ではないのだ。それゆえ、「ジョンソン監督に認められたい」(幸喜)という思いが強く、すぐにでも自分の強みをチームに還元しようと懸命だ。J3リーグも残り7試合。あと1ヶ月ほどと限られた時間しかない中、実力を示してチャンスを手にし、チームの勝利のために戦う彼の勇姿が今年見られるか着目したい。

Reported by 仲本兼進