明治安田J1第28節で6位のC大阪を破り、翌29節では横浜FMとの首位攻防戦に勝利した神戸。残り5試合で2位・横浜FMとは勝点4差、3位・浦和とは勝点8差に。初のリーグ制覇に向けて大きなアドバンテージを得て3週間のインターバルを迎えた。
10月5日の公開練習では、少し気持ちに余裕ができたのか選手たちの表情は明るく、声も大きかった。吉田孝行監督が思わず「多っ!」とつぶやくほどメディアの数も増え、いよいよ初のJ1リーグ制覇にも現実味が帯びてきた。
残り5試合で首位の状況について、吉田監督は「C大阪戦と横浜FM戦は2連敗してもおかしくない中で、そういう強い相手に連勝して中断期間に入れたことは大きい」と改めて山場の2勝を振り返った。この状況を作り出したのは選手やスタッフが一丸となって戦ったからに他ならないが、中でも扇原貴宏の奮闘は無視できないだろう。彼が古巣戦で2連勝を手繰り寄せた裏には“伏線”があった。
扇原は2年前の2022年に横浜FMから神戸に移籍加入した。シーズン開幕前は山口蛍との元C大阪ボランチの再結成に注目が集まったが、扇原がなかなかリーグ戦に絡むことができず、夢のボランチ構想は夢で終わった。今シーズンもほとんど試合に絡めず、練習では若手と一緒に過ごす時間が目立っていた。
だが、8月19日の柏戦で齊藤未月が大怪我を負って戦列を離れると、扇原にスイッチが入った。その柏戦後から、普段の練習に加えてフィジカルトレーニングを追加したという。これが功を奏し、C大阪戦では泥臭いディフェンスで相手のチャンスをつぶし、セカンドボールを回収して味方の攻撃に繋げ続けた。“神戸のボランチ”の役割を見事に体現してみせたのである。続く横浜FM戦でも同じようにハードな守備で勝利に大きく貢献してみせた。
公開練習の後、囲み取材に応じてくれた扇原に “今の神戸は優勝するチームの雰囲気になってきたか?”と尋ねた。すると、こんな答えが返ってきた。
「僕自身は今シーズンの最初の方から優勝できる雰囲気は感じていた。あとは自分たちがソレをやるかどうかだと思う。先のことは考えず、自分たちにフォーカスして1試合1試合やっていくだけだと思います」
横浜FMで2019年にJ1リーグ優勝を経験している扇原の復調は、プレッシャーのかかる残り試合を戦う上で大きな収穫である。
Reported by 白井邦彦
10月5日の公開練習では、少し気持ちに余裕ができたのか選手たちの表情は明るく、声も大きかった。吉田孝行監督が思わず「多っ!」とつぶやくほどメディアの数も増え、いよいよ初のJ1リーグ制覇にも現実味が帯びてきた。
残り5試合で首位の状況について、吉田監督は「C大阪戦と横浜FM戦は2連敗してもおかしくない中で、そういう強い相手に連勝して中断期間に入れたことは大きい」と改めて山場の2勝を振り返った。この状況を作り出したのは選手やスタッフが一丸となって戦ったからに他ならないが、中でも扇原貴宏の奮闘は無視できないだろう。彼が古巣戦で2連勝を手繰り寄せた裏には“伏線”があった。
扇原は2年前の2022年に横浜FMから神戸に移籍加入した。シーズン開幕前は山口蛍との元C大阪ボランチの再結成に注目が集まったが、扇原がなかなかリーグ戦に絡むことができず、夢のボランチ構想は夢で終わった。今シーズンもほとんど試合に絡めず、練習では若手と一緒に過ごす時間が目立っていた。
だが、8月19日の柏戦で齊藤未月が大怪我を負って戦列を離れると、扇原にスイッチが入った。その柏戦後から、普段の練習に加えてフィジカルトレーニングを追加したという。これが功を奏し、C大阪戦では泥臭いディフェンスで相手のチャンスをつぶし、セカンドボールを回収して味方の攻撃に繋げ続けた。“神戸のボランチ”の役割を見事に体現してみせたのである。続く横浜FM戦でも同じようにハードな守備で勝利に大きく貢献してみせた。
公開練習の後、囲み取材に応じてくれた扇原に “今の神戸は優勝するチームの雰囲気になってきたか?”と尋ねた。すると、こんな答えが返ってきた。
「僕自身は今シーズンの最初の方から優勝できる雰囲気は感じていた。あとは自分たちがソレをやるかどうかだと思う。先のことは考えず、自分たちにフォーカスして1試合1試合やっていくだけだと思います」
横浜FMで2019年にJ1リーグ優勝を経験している扇原の復調は、プレッシャーのかかる残り試合を戦う上で大きな収穫である。
Reported by 白井邦彦