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【取材ノート:大宮】シーズン初出場で貴重な勝点3をもたらす。志村滉は大宮の救世主となりうるか

2023年9月28日(木)


まったく彼らしい振る舞いであった。

試合後のミックスゾーンに表れると、喜色満面のどや顔とでも言えばいいか、そんな表情で茶目っ気たっぷりに顔馴染みの記者へ顔を近づけていく。チームに7試合ぶりの勝利をクリーンシートでもたらした、志村滉である。

今季は開幕からサブゴールキーパーとしてベンチに入っていたが、5月の練習中に左ひざを負傷し、そのまま戦列を離れていた。復帰後も試合には絡めず、ひたすらトレーニングに勤しむ日々だったが、今季のレギュラーゴールキーパーであった笠原昂史が体調不良で試合出場できなくなった。そこで、明治安田生命J2リーグ第36節徳島ヴォルティス戦に代役として指名されたのが、志村だった。


原崎政人監督は、「(南)雄太が悪いというよりも滉の状態がすごく良くなっていた。だったら元気な選手で一度勝負しようか」と志村起用の思考を明かしたが、その期待に見事応えた格好となった。

「程よい緊張感で(試合に)入れたという感じでした。(守備は)思っていたよりもうまく機能してましたし、特に前半は前線からの守備もはまって、うまくいってました」

守備時は4-4-2とする新布陣からのプレッシングが奏功。「1回も(ボールを)触らないのが理想的ですけどね」と笑ってはいたが、もちろん訪れたピンチにはしっかりと立ちはだかった。



14分、ペナルティエリア右角からの永木亮太のフリーキックはゴール右上を狙われたが、左手で弾き飛ばす。逃げ切り態勢に入っていた93分、白井永地のロングパスに飛び出した西谷和希との1対1は、体ごと防いだ。

「あの1対1は、準備と予測があったからこそ、自分の得意な形に持ち込めたと思います。ああいう場面でいつでも一番いい対処ができるように、これからも準備をしていきます」

実は、これが今シーズン初出場だった。「これで勝率100%なんで、誇ります」と軽口を叩いたが、残り試合に向けて、真顔で意気込んだ。



「出る試合は全部勝つ気持ちでいきます。“持ってる”じゃないですけど、(内容に関係なく)出る試合は全部勝つ、みたいな、そんなのでもいいから勝ちたいです。今はそれぐらい勝ちが必要だから」

逆転でのJ2残留へ、貪欲に勝利を目指していく。

Reported by 土地将靖