開幕前からJ1リーグ昇格の本命と言われてきた清水が、ついに自動昇格圏内まで上がってきた。
リーグ序盤はまったく本領を発揮できなかったが、8節に秋葉忠宏監督が指揮を執り始めてからV字回復し、後半戦の2回り目の対戦では一度も負けがない。前節までの13戦負けなしはクラブ最多タイ記録だ。前回J2で戦った2016年には、最後に9連勝して昇格をつかんだが、残り7試合に全て勝てば、その再現にもなる。
首位・町田との勝点差が5まで縮まってきたので(ただし町田は1試合未消化)、9連勝すれば大逆転での優勝も夢ではない。そんな中でチームとしてどのような意識で戦っていこうとしているのか、監督と選手の声を聞いた。
「これまでもこれからも大事なのは、一つ一つ自信を持ってプレーすることじゃないですか。残り7試合がどうこうじゃなくて、まず次の甲府戦で自分たちが積み上げてきたことをやるだけ。2位になって安心したり、ミスを恐れたプレーが増えたりするのは良くないし、今の自分たちのプレーをすれば必ず勝てると思うので、それを続けていくことが大事だと思います」
そう語るのは、甲府時代にJ1に昇格した経験を持つ吉田豊。最近の試合では、後半から出場して冷静なプレーでゲームを締めくくり、負けない戦いに大きく貢献している。
「僕らは2位を守り抜くというより、もう1つ上の優勝を目指してるので、そのために自分たちが今良くなってきてることを続けていくだけだと思います。それだけ考えて1つ1つ勝っていけば、その結果として優勝と昇格が後からついてくると思っています」
ボランチとして攻守両面でチームをコントロールしている白崎凌兵はこう語った。2位を守る意識が強くなると硬さも出やすいが、町田を追い越すという目の前のターゲットがあることは「やりやすい」と感じている。
吉田や白崎に限らず、チーム全員に共通するのは「今の自分たちのサッカーをすればどこが相手でも必ず勝てる」という自信だ。主導権を握る力も、相手が守りを固めたところを攻め崩す力もある。ボール保持にこだわりすぎることもなく、ある程度相手にボールを持たせてカウンターからゴールを奪うこともできる。
そんな中で、最近の進化として注目したいのは、前出の吉田をはじめ交代選手の活躍が光り、終盤の戦い方が非常に安定してきたところだ。
「途中から出てきた選手たちがしっかり試合の流れの中に入っていけてるところ、相手に流れを渡しかけたところをしっかり引き戻せているところが、今良くなっている部分だと思います。5人交代できるという条件はどこも同じですけど、全員が自分の任務をよく理解して、それをしっかり遂行できてると思います」(西澤健太)
選手層の厚さという部分も、昇格争いに向けて清水が優位な要素であり、それをより活かせるようになってきたことは大きい。もちろん、西澤も吉田も先発ではない悔しさはある。それでも西澤は、町田戦の逆転ゴールのアシストなど自分の役割をしっかりと果たせていることに充実感を覚えている。そのうえで残り7試合への楽しみをつけ加えた。
「今までのエスパルスの課題として、勝ちグセがないこととか、勝っているときの試合運びというのがあります。去年も最後のところで引き分けに持ちこまれた試合が多かったので。でも今は、そういう意味ですごく良い経験ができていると思います。これからプレッシャーも強くなってくる中で、うまいゲームの進め方というのをしっかり身についておいて、J1に上がったときにも実践できるようにしていくことが大事だと僕は思っています」
現状維持でも守りに入るのでもなく、残り7試合でより進化しながらJ1昇格をつかむ。秋葉監督もまったく同じ考えだ。
「今の力や順位の維持じゃなくて、さらに上げていくという意識を持てるかどうか。我々は5年計画でJ1チャンピオンになるという目標があるので、そこを見据えながらやらないといけない。昇格してもすぐ落ちるようじゃ困りますし、上に行って首位争いをして、ACLも狙ってと段階を踏んでいかないと。だから、ここからさらにギアを上げて、ラストスパートで一気に離す、追いつく、追い越す。そういう目標設定でやったほうが、うちの選手は力を発揮できると思います」
残り試合が少なくなるほど、重圧や緊張感は当然増してくる。だが、その程度で消極的になるようなメンタリティでは、5年計画には到達できない。そこを指揮官も選手たちも十分に理解していることは、少し話を聞いただけでもしっかりと確認することができた。
Reported by 前島芳雄
リーグ序盤はまったく本領を発揮できなかったが、8節に秋葉忠宏監督が指揮を執り始めてからV字回復し、後半戦の2回り目の対戦では一度も負けがない。前節までの13戦負けなしはクラブ最多タイ記録だ。前回J2で戦った2016年には、最後に9連勝して昇格をつかんだが、残り7試合に全て勝てば、その再現にもなる。
首位・町田との勝点差が5まで縮まってきたので(ただし町田は1試合未消化)、9連勝すれば大逆転での優勝も夢ではない。そんな中でチームとしてどのような意識で戦っていこうとしているのか、監督と選手の声を聞いた。
「これまでもこれからも大事なのは、一つ一つ自信を持ってプレーすることじゃないですか。残り7試合がどうこうじゃなくて、まず次の甲府戦で自分たちが積み上げてきたことをやるだけ。2位になって安心したり、ミスを恐れたプレーが増えたりするのは良くないし、今の自分たちのプレーをすれば必ず勝てると思うので、それを続けていくことが大事だと思います」
そう語るのは、甲府時代にJ1に昇格した経験を持つ吉田豊。最近の試合では、後半から出場して冷静なプレーでゲームを締めくくり、負けない戦いに大きく貢献している。
「僕らは2位を守り抜くというより、もう1つ上の優勝を目指してるので、そのために自分たちが今良くなってきてることを続けていくだけだと思います。それだけ考えて1つ1つ勝っていけば、その結果として優勝と昇格が後からついてくると思っています」
ボランチとして攻守両面でチームをコントロールしている白崎凌兵はこう語った。2位を守る意識が強くなると硬さも出やすいが、町田を追い越すという目の前のターゲットがあることは「やりやすい」と感じている。
吉田や白崎に限らず、チーム全員に共通するのは「今の自分たちのサッカーをすればどこが相手でも必ず勝てる」という自信だ。主導権を握る力も、相手が守りを固めたところを攻め崩す力もある。ボール保持にこだわりすぎることもなく、ある程度相手にボールを持たせてカウンターからゴールを奪うこともできる。
そんな中で、最近の進化として注目したいのは、前出の吉田をはじめ交代選手の活躍が光り、終盤の戦い方が非常に安定してきたところだ。
「途中から出てきた選手たちがしっかり試合の流れの中に入っていけてるところ、相手に流れを渡しかけたところをしっかり引き戻せているところが、今良くなっている部分だと思います。5人交代できるという条件はどこも同じですけど、全員が自分の任務をよく理解して、それをしっかり遂行できてると思います」(西澤健太)
選手層の厚さという部分も、昇格争いに向けて清水が優位な要素であり、それをより活かせるようになってきたことは大きい。もちろん、西澤も吉田も先発ではない悔しさはある。それでも西澤は、町田戦の逆転ゴールのアシストなど自分の役割をしっかりと果たせていることに充実感を覚えている。そのうえで残り7試合への楽しみをつけ加えた。
「今までのエスパルスの課題として、勝ちグセがないこととか、勝っているときの試合運びというのがあります。去年も最後のところで引き分けに持ちこまれた試合が多かったので。でも今は、そういう意味ですごく良い経験ができていると思います。これからプレッシャーも強くなってくる中で、うまいゲームの進め方というのをしっかり身についておいて、J1に上がったときにも実践できるようにしていくことが大事だと僕は思っています」
現状維持でも守りに入るのでもなく、残り7試合でより進化しながらJ1昇格をつかむ。秋葉監督もまったく同じ考えだ。
「今の力や順位の維持じゃなくて、さらに上げていくという意識を持てるかどうか。我々は5年計画でJ1チャンピオンになるという目標があるので、そこを見据えながらやらないといけない。昇格してもすぐ落ちるようじゃ困りますし、上に行って首位争いをして、ACLも狙ってと段階を踏んでいかないと。だから、ここからさらにギアを上げて、ラストスパートで一気に離す、追いつく、追い越す。そういう目標設定でやったほうが、うちの選手は力を発揮できると思います」
残り試合が少なくなるほど、重圧や緊張感は当然増してくる。だが、その程度で消極的になるようなメンタリティでは、5年計画には到達できない。そこを指揮官も選手たちも十分に理解していることは、少し話を聞いただけでもしっかりと確認することができた。
Reported by 前島芳雄