Jリーグはサマーブレイク真っ只中。名古屋も5日間の“夏休み”が選手たちに与えられ、各人のSNSを見れば思い思いの過ごし方で羽を伸ばしていることが確認できる。前節の京都戦は嫌な負け方をしたが、順位は3位で残り試合で十分に巻き返す猶予はあり、ならばできるだけのリフレッシュ休暇を楽しんでラストスパートへの英気を養ってほしいもの。中断明けからは新戦力が正式にチームに加えられることになり、8月2日の天皇杯の浦和戦、そしてリーグ22節の国立開催ホームゲームの新潟戦といきなりの過酷な戦いが彼らを待つ。
つまり実質2週間の準備期間をどのように過ごすかが、差し当たってのチームが考えるべき課題となる。戦力をどう活かしていくか、戦い方にどれだけの重厚さを付け加えていけるか。用意周到な長谷川健太監督のこと、一発勝負の天皇杯とリーグ戦に同等の戦力を注ぎ込むべく、コーチ陣とマネジメントを練っているはずである。中2日では十分な回復は見込めず、しかし下手なターンオーバーはタイトルの獲得権をひとつ失う確率を上げる。天皇杯はACLへと続く意味でも重要で、できるだけの戦力を投入していくことは2回戦、3回戦の戦い方を見ても明らか。選手層は厚くなってきたとはいえ、慎重な采配も必要にはなってくるだろう。
ただし、改めて現状の名古屋の選手層を振り返ってみると、ターンオーバーも可能な戦力が揃ってきた感もある。3バックは中谷進之介と藤井陽也を軸に、残り1枚を野上結貴と河面旺成、この中断期のリハビリ次第では復帰も見込めるかもしれない丸山祐市が争う。ボランチは米本拓司と稲垣祥の鉄板コンビに加え、ここ数試合でボランチでのプレーに開眼した感のある内田宅哉の評価が急上昇。そして長澤和輝と山田陸もおり、疲労の状態に合わせて組み合わせと交代策をチョイスできるだけの人数は揃った。
ウイングバックはやや手薄とはいえ、和泉竜司と森下龍矢、内田宅もこのポジションの候補であり、今後の練習次第では前田直輝やターレスもこのポジションを担うことが考えられる。トップ下およびシャドーにはマテウスや重廣卓也、ターレス、前田と候補は多数おり、心配は要らない。最前線は永井謙佑とユンカー、酒井宣福、そして新加入の中島大嘉(天皇杯は出場不可)、貴田遼河とやはり人数は豊富。ここにフィールドでは豊田晃大や吉田温紀、行徳瑛らが挑戦権を探っている。やはり選手層は格段に厚みを増しており、昨季のことを思えば充実した戦力になったものだと隔世の感すら漂う。
もっとも、選手を入れ替えながら戦う中でも欠かせない戦力というのは居るもので、今の名古屋で言えば永井とユンカー、稲垣、中谷、藤井、ランゲラックあたりは出場時間をコントロールしてでも両試合に起用したいところだろう。とりわけ、21節の京都戦で不在が響いた感の強い永井については必須の存在と言え、攻撃のメリハリをつける役割や守備のスイッチを入れるハードワークにおいて彼の右に出る選手は今のチーム内にはいない。味方が助かるポジショニングとワンタッチパスは、それがない時に初めてその効果のほどを知る名古屋のベースになるもの。豊田は「あのポジションで謙佑くんが良すぎる」とその壁の高さを表現していたが、確かに不在の試合や途中出場の試合のその後の時間帯において、“永井がチームを動かしている”と感じることは多い。
中断明けに期待したいのは実力者たちの仕切り直しの部分にもあり、代表選出のあとにややプレーが落ち着いてしまった感のある森下と藤井にはさらなる奮起とクオリティの向上が欲しい。それぞれのポジションで国内最強の選手であることを誇示し続けないことには次の選出にこぎつけることはできず、それはおそらく本人たちが一番痛感しているはず。9月と10月には再び日本代表活動が予定されており、そこへのアピールも含めた心機一転のパフォーマンスを見せてほしいところだ。
チームは22日から再始動し、23日のファン感謝イベントを経て次週のトレーニング立ち上げへと向かう。リーグ首位の神戸を追い、ルヴァンカップ、天皇杯との3冠の可能性をこのタイミングになっても追える幸せなシーズンは、ここからが本番だ。名古屋の誰一人とて何も諦めてはおらず、すべてを獲りに目の前の試合を戦う。開幕前から全員が口にしてきた「タイトル獲得」という本気の言霊は、まだまだその効力を失うどころか加速していく一方である。
Reported by 今井雄一朗
つまり実質2週間の準備期間をどのように過ごすかが、差し当たってのチームが考えるべき課題となる。戦力をどう活かしていくか、戦い方にどれだけの重厚さを付け加えていけるか。用意周到な長谷川健太監督のこと、一発勝負の天皇杯とリーグ戦に同等の戦力を注ぎ込むべく、コーチ陣とマネジメントを練っているはずである。中2日では十分な回復は見込めず、しかし下手なターンオーバーはタイトルの獲得権をひとつ失う確率を上げる。天皇杯はACLへと続く意味でも重要で、できるだけの戦力を投入していくことは2回戦、3回戦の戦い方を見ても明らか。選手層は厚くなってきたとはいえ、慎重な采配も必要にはなってくるだろう。
ただし、改めて現状の名古屋の選手層を振り返ってみると、ターンオーバーも可能な戦力が揃ってきた感もある。3バックは中谷進之介と藤井陽也を軸に、残り1枚を野上結貴と河面旺成、この中断期のリハビリ次第では復帰も見込めるかもしれない丸山祐市が争う。ボランチは米本拓司と稲垣祥の鉄板コンビに加え、ここ数試合でボランチでのプレーに開眼した感のある内田宅哉の評価が急上昇。そして長澤和輝と山田陸もおり、疲労の状態に合わせて組み合わせと交代策をチョイスできるだけの人数は揃った。
ウイングバックはやや手薄とはいえ、和泉竜司と森下龍矢、内田宅もこのポジションの候補であり、今後の練習次第では前田直輝やターレスもこのポジションを担うことが考えられる。トップ下およびシャドーにはマテウスや重廣卓也、ターレス、前田と候補は多数おり、心配は要らない。最前線は永井謙佑とユンカー、酒井宣福、そして新加入の中島大嘉(天皇杯は出場不可)、貴田遼河とやはり人数は豊富。ここにフィールドでは豊田晃大や吉田温紀、行徳瑛らが挑戦権を探っている。やはり選手層は格段に厚みを増しており、昨季のことを思えば充実した戦力になったものだと隔世の感すら漂う。
もっとも、選手を入れ替えながら戦う中でも欠かせない戦力というのは居るもので、今の名古屋で言えば永井とユンカー、稲垣、中谷、藤井、ランゲラックあたりは出場時間をコントロールしてでも両試合に起用したいところだろう。とりわけ、21節の京都戦で不在が響いた感の強い永井については必須の存在と言え、攻撃のメリハリをつける役割や守備のスイッチを入れるハードワークにおいて彼の右に出る選手は今のチーム内にはいない。味方が助かるポジショニングとワンタッチパスは、それがない時に初めてその効果のほどを知る名古屋のベースになるもの。豊田は「あのポジションで謙佑くんが良すぎる」とその壁の高さを表現していたが、確かに不在の試合や途中出場の試合のその後の時間帯において、“永井がチームを動かしている”と感じることは多い。
中断明けに期待したいのは実力者たちの仕切り直しの部分にもあり、代表選出のあとにややプレーが落ち着いてしまった感のある森下と藤井にはさらなる奮起とクオリティの向上が欲しい。それぞれのポジションで国内最強の選手であることを誇示し続けないことには次の選出にこぎつけることはできず、それはおそらく本人たちが一番痛感しているはず。9月と10月には再び日本代表活動が予定されており、そこへのアピールも含めた心機一転のパフォーマンスを見せてほしいところだ。
チームは22日から再始動し、23日のファン感謝イベントを経て次週のトレーニング立ち上げへと向かう。リーグ首位の神戸を追い、ルヴァンカップ、天皇杯との3冠の可能性をこのタイミングになっても追える幸せなシーズンは、ここからが本番だ。名古屋の誰一人とて何も諦めてはおらず、すべてを獲りに目の前の試合を戦う。開幕前から全員が口にしてきた「タイトル獲得」という本気の言霊は、まだまだその効力を失うどころか加速していく一方である。
Reported by 今井雄一朗